2018年の世界貿易について 3月4日

 トランプ大統領の公表した米国の新関税により、米国への輸入に対して例外なく各国に鉄鋼で25%、アルミで10%が課税されることになる様子です。
 公表時は例外があるかどうかが不明瞭でしたが、ティラーソン国務長官が例外なしを公表しており、大きな変化になりそうです。
 鉄鋼についてはデーターが公表されており、この政策の標的にされている中国は2%のシェアでした。この部分を持って軍産議会複合体傘下のメディアがトランプたたきに精を出していますが、不思議なことにアルミのデーターは目につく物がありません。分かりやすいグラフなど準備されるべきなのですが、メディアはこの部分を意図的に避けています。
 これで政治を批判することにどんな客観性があるのか、こちらには理解しかねる部分です。鉄鋼は以下のシェアでした。

カナダ  16.1%
ブラジル 13%
韓国   10.2%
メキシコ  9%
ロシア   8.7%
トルコ   6.3%
日本    5%
中国    2.2%

 これに対する生産力ですが、中国には世界の生産量の50%のシェアがあります。生産能力が飛び抜けているのです。この数字が示す物は、上記のシェアに迂回輸入がどれだけ含まれているかになるでしょう。半製品を輸出して他の国を経由して儲けるのです。
 アルミの場合はこれが記事に書かれており、生産能力のシェアは鉄鋼同様に50%と言われています。例えば車のアルミホイールを適当に作って輸出し、輸出先では溶かして一般のアルミ製品に変えるという迂回輸出です。

 こういった部分の実態が明確にならないのに、表面上の数字だけを見てトランプ氏の通商政策を批判しても、的外れになるだけでしょう。
 メディアがトランプ氏を叩く姿勢は過去から明確なので、今回もこの部分の情報の公表には時間がかかるでしょう。中国を市場として利用したい国々の意向もあって、アルミの輸出の実態は分かりにくいのではないかと思っています。
 こちらは2018302で何かが起きる部分を、この公表による市場の下落と、貿易戦争の始まりに見るところです。2018301がトランプ氏の公表時間で日本では2日がその影響を受けた時間になるところでしょう。

 記事は3月4日に書いており、EUの報復関税案が公表されたりしています。今週中には変化が明確になると思われます。
 中国ではこの関税を止める為に高官が訪米中でしたが、事前の予想通りに顔に泥を塗られる形での公表となりました。トランプ氏との間には良い関係を持てていないのが実際の中国の姿ではないかと思われます。
 2018年はこれから始まる貿易の変化で、経済にも大きな変化を受ける部分がでてくる様子です。

 中国では経済成長が著しいと言われていた期間に、製鉄所とアルミの精錬所など、高度なノウハウなしで市場に参入出来る分野が、リスクを取らない官僚達のビジネスになっていました。その結果で鉄鋼とアルミの生産能力シェアがそれぞれ約50%まで達しているのです。これを異常と思うかどうかは、経済の常識が決める部分でしょう。
 中国で起きた事は、米国が輸入に使ったドルが余って行き場を失ったところに、ローテクの投資先を紹介されて市場の占有を目指して努力したという結果でしょう。国内消費量を無視して生産力のみを増強し、その投資への責任を中国では誰も取らないのです。
 その結果で過剰な部分が消えてゆくならまだしも、関税の制限を受けても迂回輸出やダンピングで対処し、そのシェアを拡大し続けたことは現実です。この問題に遅ればせながらも向きあうのがトランプ大統領の政策です。

 自由貿易なら何でも良いという議論はいい加減な話でもあり、国家が支えて過大な生産力を手にしただけでなく、関税逃れやダンピングなど、自由と言えるのでしょうか。当時の中国には市場原理などはなかったのであり、生み出された過剰な生産能力を誰も責任を取らないから、市場が暴落するのです。
 この先どこまで情報が広まるのかは分かりませんが、本質の議論を抜きにした鉄鋼の情報だけの批判では、現実の問題に向き合うことは出来ないでしょう。
 過去から貿易紛争こそ、戦争を起こしてきています。日本も石油がなくなってやむなしの選択が大東亜戦争でした。
 この先アルミの実態と、鉄鋼についても迂回輸出の実像を知る事が重要でしょう。関税合戦になりそうな所ですが、情報が広まる部分で変化の糸口を見つけられると良いでしょう。戦争になると決まっている未来ではないと思います。

 2018425に向けての動きと考えると、戦争を追求する部分も含まれており、ここから戦争につながらない対策も必要になるでしょう。
 現状の確認に世界貿易をメインキーワードに選び、2018をフィルターの条件にして解析をしました。world tradeです。今回は240カ所近くの中から99カ所を選び出しての評価です。イラストに結果を載せていますので参照下さい。
 世界の貿易で評価をすると、軍産議会複合体の評価に使った言葉の集団の中から、争い、未来、金、米国財務省証券が強調されていることが明確でした。金は他でも出てくるのですが、米国財務省証券には驚いています。世界の貿易がドルで決済される現状を示していますが、この変化が生まれる時に評価も変わるのでしょう。
 全体の評価と比較して2018で変化するのは、上昇が戦争、軍産複合体、北朝鮮、貿易でした。下落は、中国、ロシア、日本です。

 トランプ氏の関税の説明では、安全保障上の問題を重視するとなっており、ここには中国とロシアが入るでしょう。その結果が表れていると思います。
 2018302でも確認しています。貿易が上昇しており、影響が始まることを明確にしているかも知れません。今後の評価で2018301も比較したり、この先の米国政府の動きに合わせて見てゆく事も必要になるでしょう。
 戦争と軍産複合体の上昇は気になる部分であり、実際の戦争につながらないようにする部分が重要になるでしょう。ここにもその状況は現れると思いますので、今後の変化をここでも評価する事になります。
 もうしばらく様子を見たところで、グラフの解析も行いたいと思います。貿易戦争を可とするツイートを発しているトランプ氏ですが、問題の本質は自由貿易が適切に機能しているかなど重要な部分にあると思います。
 米国のドルが通用する間は赤字を垂れ流せるのですが、これが通用しなくなると輸入など成り立たないのであり、ここに対策する部分は今の関税の先にある物になると思います。将来的にも避けられない部分を持つと思われ、良い面の評価も重要でしょう。

稲生雅之
イオン・アルゲイン