漏れた放射性物質は無主物   11月30日

 東京電力福島第一原子力発電所の事故により、たくさんの放射能が日本中に振りまかれています。大きな影響が出ている所もあれば、まだ潜在的に悪影響の予想される所もあるという状況です。どこから安全で、どこからが心配なのかははっきりせず、私達に不安を感じさせる状態にあります。

 政府は20km圏内を保証の対象にしています。でも、現実に飛散した放射能は、これよりも遙かに広い領域にまで、その影響を及ぼしています。
 各地に形成されているホットスポットは高い残留放射能を持っており、そのエリアでは子供を遊ばせることはすすめられません。健康被害に繋がる影響を排除できないのが現在の状態です。

 除染をすれば放射能の影響を軽減できるので、学校では校庭の表土を削ったり、建物の表面を掃除するなどで、対策を講じてきています。
 この除染作業は既に一定の効果を上げているので、各地で実施されています。費用もかかり、放射能の高いゴミが出るなど問題もありますが、やらないよりは良いという結果は既に得られています。

 放射能の原因である、東京電力福島第一原子力発電所の事故現場から飛散した放射性物質を取り除く必要があるのですが、東京電力はこの責任を取らないですむように裁判で争っています。
 飛散した放射性物質は今は表土にあり、その場所の放射能を高めています。これらは既に農作物に入り込んでいて一部のお米の出荷が止まりましたし、人の体に入っている分は体内被曝としてこれから健康被害が出て来るのです。

 事故で飛散した放射性物質がこの被害を広げて行くのですが、この放射性物質について東京電力は責任を取らなくて良いと言う判決を東京地裁は出しています。
 既に起きている農作物の被害や、これから起きて来る健康被害にもその責任を取らなくて良いと言う結果につながりかねない判決です。

 11月24日の朝日新聞に載った記事の内容からです。
 8月、福島第一原発から約45km離れた二本松市の「サンフィールド二本松ゴルフ倶楽部」が東京電力に、汚染の除去を求めて仮処分を東京地裁に申し立てました。
 事故後ゴルフコースからは毎時2~3マイクロシーベルトの高い放射線量が検出されるようになり、営業に障害が出ている。責任者の東電が除染をすべきである。と被害者は主張しています。

 対する東電の主張は、以下です。
 原発から飛び散った放射性物質は東電の所有物ではない。従って東電は除染に責任を持たない。
 答弁書で東電は放射性物質を「もともと無主物であったと考えるのが実態に即している」としています。

 無主物とは、自然にある霧や海水のように、誰の物でもないという物です。東京電力はこの裁判の中では、事故で漏れ出した放射性物質の所有権を認めません。さらに、所有権を考えるとすると放射性物質は既にゴルフ場にくっついてしまったので、自分たちの物ではないとしています。

 東京地裁の福島政幸裁判長の判決はひどい物です。ゴルフ場の汚染は認めながらも、「除染方法や廃棄物処理のあり方が確立していない」として、東電に除去を命じることは出来ないとしています。
 さらにゴルフ場の地上1メートルの放射線量が文部省の子供の活動の制限値となった毎時3.8マイクロシーベルトを下回ることから「営業に支障はない」として賠償請求を退けています。

 東電の姿勢は自己の責任を放棄できるなら、何だって言ってみるという物です。裁判ですからこの様な主張をしてはいけないという事はありません。でも、事故を起こした企業がその責任を取らないというのですから、その被害者の救済はどうすればよいのでしょうか。その責任をどの様に取るのかも含め、ここを考えるのが裁判という物であると思っています。
 裁判は裁判官の良心にのみ基づいて行う物です。この方の良心には、東京電力の責任を回避することしかない感じです。

 現実は、本来であれば7月に開催予定の「福島オープンゴルフ」の予選会が実施されますし、年間3万人近いお客様でにぎわうそうです。地元の従業員17人の方にも9月一杯で退職頂いたとのことです。
 判決は10月31日とのことですので、この実質的な損害があるにもかかわらず、これを無視できるのが今回の裁判官の良心なのでした。多くの人々が東京電力に賠償を求める手続きは既に始まっていますが、内容がわからないと言われるその申請書に加えこの状況を見ると、彼らはひたすら責任という物を回避するのでしょう。

 裁判は東京高裁に即時抗告されています。上級審に行くにつれて特定の個人の裁判官の意見が、良心が反映されることは少なくなりますが、反対に政治的な意図が大きく反映されるようになります。現在の政府は放射能の被害を隠蔽する方向で動いていますので、今のままではこの判決が覆ることは難しいかもしれません。
 
無主物放射能 の解析結果
 3月11日の原発事故の影響に関する、2011年10月31日の東京地裁の福島政幸の無主物放射能の判決は、高裁、最高裁で覆るかも知れない。
 国民に奇形や統計情報で分かる健康被害が出てからかもしれない。2011~15年に分かるかも知れない。
 判決は国民の健康を無視する物であり、出世のためかも知れない。
 戦争と平和、自由と支配、公正と偏向、情報公開、食糧危機につながっている。

 この解析には賄賂という言葉も出てきます。この意味を想像すると、東京電力の広告費としての賄賂とも言うべきお金の流れが、裁判官に出世のためには東京電力に不利な判決を出さない。につながっていることだと思います。裁判官が直接賄賂をもらっているのではなく、裁判のシステムが政権に都合の良い方向に曲げられるようになっています。
 賄賂の内容は解析でも出せると思いますが、時間の無駄に感じてしまいました。

 彼らの隠したい物は統計には必ず表れます。チェルノブイリでは統計を隠してしまいましたが、この日本では不可能でしょう。
 政府は直ちに健康被害につながることはないと繰り返していました。時間の経過と共に必ず被害の出ることを意識していたのです。
 この情報が早ければ早いほど対策が進むのです。とにかく早く分かることを願っています。

稲生雅之
PS 12月の3~6日、その後の13~18日くらいで日本の広域なエリアで地震に可能性が出てきます。今回は沖縄の自然信仰家比嘉さんの心配も強く、地震対策のお願いです。
 現在太陽からの影響が出ていて、この延長線上に3~6日のリスクがあり、余震的な動きにつながるかもしれません。その後は様子を見る必要はありますが、16日くらいにリスクがもう一度高まります。
 太陽風の影響を取り除くことも重要ですが、今回はプレートのひずみの調整の意味合いが大きいです。自分の住んでいるところのゆっくり地震をイメージし、近くのひずみがゆっくりと抜けて行くイメージをお願いしたいと思います。