日米のTPP             8月22日

 民主党政権が平成の開国として宣伝し、今年の初めに騒がれていたTPPという物があります。環太平洋戦略的経済連携協定の略語です。
 3月11日の地震の後に、TPPを行うかどうかの議論は先送りすると言う事になり、しばらくは話がストップすると思っていましたが、今になってまた話が進みそうになってきています。

 民主党代表の選挙に絡んで、立候補者の誰がTPPに反対で、誰が賛成かが情報として流されています。代表の交代に関連してまたこの議論を再開し、TPPへの参加を進めようとする動きが出てきているようです。
 何故今TPPなのかを考えてみようと思います。

 今日になって代表の選挙に出ないと言っていた前原氏が、立候補を表明することになりました。
 出たくない理由があっての事かと思っていましたが、立候補した理由が野田氏では選挙に勝てないと言う事でした。政治の世界では立候補のメンバーを見れば、始めから分かるような事だと思います。本当の理由は他の所にあるのかも知れません。

 TPPのお話しに入る前に、既にある別の経済協定についても触れておきたいと思います。ETA,EPAです。
 これらは自由貿易協定、経済連携協定であり、二国間または特定の地域で個別に協定を結ぶ物です。すでに日本とメキシコ、日本とASEANなどの間に結ばれ、利用されています。

 TPPですが、これに参加すると何が起きるのでしょうか。上記ETA,EPAとの違いは無条件の市場開放であることです。
 必要な分野のみの市場開放であるのならともかく、その国にとって守りたい分野も無条件に解放する必要が出てきます。

 つまり、TPPに参加するのであれば、国全体の利害を調整する必要があるのですが、今の日本の政府にこの様な調整能力などほとんどないと思えるのです。
 今の農業政策に問題のあることは多くの人々の認めるところであり、農協の弊害や食糧自給率の問題など、そのままにされています。

 農水省はTPPに反対です。これを推進しても市場を海外に持って行かれるだけで、今までしてきた国内市場の保護がムダになるからです。
 市場の保護には農協などの権益を伴っているので、これらを破壊して自由にした方が良いと言う意見もあるかも知れません。でも、食糧の自給は国の安全保障に関わる話であり、国民が不安を抱かないように安全に進めてほしいと思います。
 単純にはTPPにより破壊される農業が大きいと思います。これを推進して食糧自給率を下げることは、日本にとって食糧危機を演出され戦争へと誘導されやすくなる道です。

 貿易の観点からすると、大企業の業績にとっては有利に働く部分があります。製品の半完成品を海外との間で融通する事が出来るようになり、税金も有利なら、市場も拡大します。これは日本にとってというよりも大企業にとってのメリットです。
 中小企業にとっては海外からの製品が安く入ってくるのですから、市場競争が厳しくなってマイナスですし、労働者も海外から来ることになるので、日本全体としては私達の雇用が失われるレベルの問題となります。

 さらに無条件の市場開放ですから、アメリカ式の裁判と医療も入ってくることになります。この様な分野での市場保護もなくなりますので、日本市場に即していなくとも、円高も背景にしてただ価格が安いとのことでアメリカ式の様々な物が入ってくることになるのです。

 加えて政府も地方行政も、その入札を海外に向けて英語でサポートして市場を開放する必要が出てきます。これにより失われる市場は大きく、大手は大丈夫かも知れませんが、海外勢の低価格攻勢にあうことも間違いなく、地方は市場の一部を海外に持って行かれるでしょう。

 こうしてみると、大企業にとってのメリットは見いだせるのですが、それ以外のメリットはあまり目につかないのが実態です。政府によれば、TPPに参加すると2020年にGDPが2~3兆円プラスで、参加しないと10兆円失われるとのことでした。でも現実はこの様には行かないと思わせる状況でした。

日米のTPP の解析結果
 TPPは日本の支配者への悪の資本からの外圧であり、日本市場の解放とアメリカへの隷属を求める不公平な物である。
 中国との領土紛争において、尖閣を守るために日米同盟の核の傘を必要とすると言う弱点を利用している。2011~12年に卑怯な裏交渉があるかも知れない。
 食糧危機、戦争と平和、自由と公正、偏向と不公正につながっている。
 
 市場を開放できない中国はTPPに参加できません。アメリカはTPPに参加することで、日本の市場を大いに利用できるのです。この事もあって、アメリカについて行きたい人達はTPPを推進する流れです。ここでも利害関係により中国を押す人達と言う事が分かれているのでした。ETA、EPAなど貿易協定は必要に応じて今まで通り二国間または特定の地域で個別に行えば良いのです。

 前原氏はアメリカに押されて出てきたのかも知れません。政局が難しい状況で、短命政権の首相というババを引きたくなかったのに、担ぎ出されようとしています。
 ここに来てあからさまなTPP協定締結への推進は、アメリカの経済が本当に苦しくてなりふり構わず市場を求めている証拠かも知れません。

 日米同盟により日本がアメリカの核の傘と、軍事協力を必要とする中で、その代償をTPPに求められている状況です。表向きこの様な話にはならないのですが、国際政治の世界での駆け引きはここまで及んでいる様です。
 このTPPの話は今の日本で原子力を推進する話とほとんど同じです。利益を得るのは一部の大企業だけであり、多くの人が迷惑するのです。
 情報公開を上手く進めて反対できれば良いと思います。この流れが生まれてくることになると思います。

 今日の解析は新しいソフトを主体に行いました。まだバグを取りながらの作業ですが、作業効率を上げて利用することが出来る所まで来ています。
 現状10月27日を目標にして販売を始めます。現在もお受けしている前売りですが、カタログを準備して9月中には本格的に前売りを始めたいと思っています。
 やっと販売日を決められるところまで作業は進みました。よろしくお願い致します。

稲生雅之
PS 比嘉良丸さんの勉強会に参加します。放射能の話を30分くらいする予定です。前回公表した27日名古屋市、28日大阪に加え、9月3日福岡、4日熊本、24日北海道にも伺う事になりました。
 9月11日東京、18日郡山は会場に受講者としている予定です。質問などあれば休み時間にお願い致します。
 参加申し込みは以下よりお願い致します。
勉強会申し込みページ