ドイツのKIKK調査          5月30日

 今日はドイツが2022年までに脱原発をするというニュースが流れています。まだ与党の合意ですが、正式な政策へと進められて行くようです。国のレベルで原子力発電所を無くすと言う事が出来るのです。
 少し前には文部省が、被爆に対して1mSvへの努力を始めたというニュースもありました。20mSvの基準はまだそのままではありますが、1mSvに校庭の状況を変えるのであれば、本当に嬉しい前進です。

 20mSvの基準では体内被曝のリスクが大きすぎるので、この基準を何とかしてほしいと思って様々な情報の公開をしてきています。今の日本には100mSvでも大丈夫と伝えて回っている方々もいますので、何が正しいのか、迷われる方も多いかと思います。
 100mSvで大丈夫と言う方々は、ホルミシス効果を強調し、低レベルの被爆は軽いやけどと同じで免疫力を高めることにつながり、むしろ健康によいと言っています。

 この様なデーターも存在しますが、調べてみると非常に低い放射線レベルでも、確実に白血病を増やすことになると言うデーターも存在します。
 南ドイツの新聞からの記事ですが、原子力発電所の5km以内に住むと、5才以下の子供の白血病の発生率は約2倍になるとのことです。KIKK調査という元記事へのリンクは以下です。研究内容は非常に客観的なレベルであり、意図的に結果を操作するレベルはないと私は思います。

南ドイツの新聞からの記事

 被曝量を0.1mSvにしているEUの放射線防御の考え方が、ここからも現れていると思います。白血病との因果関係は科学が進まないと分からないですが、普通に考えて原子力発電所が第一の原因候補であり、統計的には時間の経過と共により明らかになるでしょう。この地の原子力発電所からの被曝量は0.0003mSv程度でしかないのです。

 また、統計的には100mSv以上被爆している父親の存在が、その子供の白血病の発生に対して確率的に大きいらしいという研究結果もあります。ここでもメカニズムは不明ですが、統計的には100mSv以上の被爆をした父親から生まれる子供は通常の約6倍の確率で白血病になる可能性があるようです。

セラフィールド再処理工場からの放射能放出と白血病

 単純に考えると、生殖器に体外から放射線を受けた場合に、遺伝子が損傷して子孫に影響をするとなります。100mSv以上の被爆をするとその確率が高まるのでしょう。
 統計だけの評価であり、因果関係が不明なので、裁判で法的に保護される状況にはなっていないとのことです。でもこの統計は明確ですし、宇宙飛行士が宇宙で被爆して(地上の100倍以上の放射線を浴びます)から帰ると子供を作らないという事実からも、そのリスクは明らかであると感じています。

KIKK調査 の解析結果
 体外からの被爆、父親の過剰な被爆からの遺伝、体内で、骨のカルシウムがストロンチウムに置き換わって蓄積されて被爆することにより、放射線により白血病が起きている。
 2011年にはまだだが、未来に証明され、ユーロ、世界に知られるようになる。放射線規制にも影響する。

 被爆による健康被害へのメカニズムがどれくらい先に明らかになるのか、まだよく分かりません。科学はこの先もずっと進んで行くので、遺伝子の仕組みの解明にも歩調を合わせて明らかになってゆくのでしょう。
 いまはまだ騙されている人が多いと感じていますが、100mSvでも大丈夫と提唱する人たちは、被爆後にその子供の白血病が増えることは因果関係がはっきりしていないとして切り捨てるのでしょう。体内被曝によるガンも子孫への遺伝子損傷も、利益と欲の前には目に入らないようです。

 統計的には明らかなので、このリスクを開示して被爆を伴う作業員を募集すべきと思います。原子力推進派の方にとっては認めたくない物ですが、リスクとして確率的に明らかなので、必ずこの被害は起きるのです。
 この態度は科学が進むまでは、政治的に解決すべき事であると思います。情報を隠して個人に被害を押しつける政治と企業にはNOを言う事になります。

 福島の事故の情報開示はこの先も進みます。現状の認識はチェルノブイリの10分の1ですが、もっと悪くなる物と思っています。
 たくさんの人の、多くの子供達の健康と命がかかっています。メカニズムがはっきりしない場合に危険というのは簡単ですが、安全というのは慎重さが必要であり、十分に検証されているのでなければ、説得力はないと思います。

 政府、東電がメルトダウンを認めた時点で、炉からのストロンチウムの拡散は多量広範囲に認められる物となり、こちらは骨に蓄積して白血病に繋がります。ストロンチウムの検出が難しいことを利用して、ここでも情報操作がなされていたと感じています。
 早ければ早いほど多くの対策が出来るのに、東電と政府は自己の利益を守ることしかまだ出来ていません。まずは情報開示が重要であり、その先には他人の命、健康を軽視した人たちへの非難が起きてくるでしょう。

 私は100mSv以上の被爆を覚悟して、原子力発電所の中でがんばっている方々を尊敬しています。社会を守ってたくさんの人の命をつなぐための命がけの仕事なのに、そのリスクを開示しようとしない卑怯な姿勢はこの先変化して行くでしょう。利益と欲だけではないのです。

稲生雅之
PS 以前ご紹介しました放射線被曝の説明資料をより分かりやすく作り直しています。3枚ほどですがここに載せますので、自由にお使い頂ければ幸いです。ありがたいことに船井会長にもHPでご紹介頂いています。
 今までは甲状腺ガンが心配でしたが、メルトダウンとなるとストロンチウムによる白血病も心配です。この資料も作って改めて公表したいと思います。

 あと、体内に取り込まれる放射性物質を体外に排出する方法も調べて公表したいと思います。その様な情報も既に公表されていますので、その利用を促したいと思っています。単に恐れるのみでなく、その土地土地で出来ることをしてゆきたいと思います。

6/1修正
 ストロンチウムの拡散について説明を修正しました。以前はごく少量しか検出されていなかったことになっていました。メルトダウンにより多量の漏出を認める条件が整ったと言う事です。
 現状は土壌汚染はチェルノブイリに匹敵すると言われ始めたように、大きな物になってきています。

6/13修正
 添付資料をストロンチウム、ウラン、プルトニウムに対応しました。