日曜日に福島市と郡山市で現在の状況について話を聞いてきました。郡山市は都市制度における中核市のせいなのか、福島県からの権限の委譲が多いとのことで、市の予算で独自に校庭の表土を取り除いているようです。
福島県の現状では空中線量が3.8マイクロシーベルト以上の場合は表土を削り取る処理か、深い部分と表面を入れ替える措置が行われるようです。
この3.8マイクロシーベルトの規制値ですが、年換算で20mSvを意識している物と思われます。ですので、この数値では一部の学校しかその対象になりません。普通の学校よりも20倍も悪いのですが、これをほんの少し下回るだけで、何らかの除去作業は進まないようです。
郡山市以外に処理の進まない理由は、もう一つあるとのことでした。福島県には県放射線健康リスク管理アドバイザーの方々がおられ、原子力発電所の事故以降に、県内で被曝量は100mSv以下であれば問題ないと、講演をして回られているようです。
実際に放射線のリスクはそれほど認識されていないらしくて、対策をしない方々は今まで通りの生活をされているとのことでした。
アドバイザーの方々の主張は、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告による物です。その中で国は現在放射線作業員であれば、放射線防護対策をした上で100mSvなら大丈夫としています。
現実はどうなっているのでしょうか。ICRPでは、福島第一原発の事故後の3月21日、「事故の起きた原発の周辺住民の年間被曝限度量は1~20ミリシーベルトの範囲とするのが妥当」という声明を出しています。
成人の年間被曝限度量については、「ICRP基準は人体の内部被曝を考慮していない。年間被曝限度量を0.1ミリシーベルト以下にすべきだ」という欧州放射線リスク委員会(ECRR)の見解も出ていて、専門家の間でも定説がないのが実情だそうです。
この定説がない状況なので、20mSvの部分が一人歩きしてしまっているようです。
小佐古さんはICRP勧告の基準はあくまで大人についての被曝限度量であり、「弱者である園児や児童に当てはめてよいものか」と指摘されて抗議しています。
問題点は単純に子供に適用することと、内部被爆が考慮されていないことの2点になると思われます。
体内被曝の無視 についての解析結果
口、鼻、肺から吸収され、体内に蓄積されたヨウ素、セシウムからのベータ線による体内被爆は、意図的に20mSvの基準から無視されている。国民を騙している。利益と欲から起こされ、モラルがないと非難される。
これらは、内蔵、脳、血管、血液、甲状の腫瘍、病気につながる可能性がある。
政権交代により変わるかも知れない。国債の暴落からも変わるかも知れない。会社が賠償により倒産状態となり、賄賂としての寄付、広告費が不足する事により変わるかも知れない。
福島県の県放射線健康リスク管理アドバイザーの方々は、小佐古さんの抗議の辞任についてどの様に考えているのでしょうか。既に政府の中には20mSvの基準を擁護する専門委員はいなくなったとも聞いています。
チッソの水俣病問題が起きて、会社の廃液が問題になり、最後はこれが原因であると認められました。その間に被害は広がりましたが、この時も会社や国の御用学者が最後まで根拠に乏しい反論をしてたくさんの人々を苦しめています。
今回は当時とは状況が異なり、政権は短い時間で交代しますし、御用学者を動かせる資金も権力の側のサポートもどんどん変化し減って行きます。何よりも、内部からの反乱のような抗議の辞任まで飛び出すほど、めちゃくちゃな基準を作ってしまったのです。
経済産業省、電力会社はその生き残りをかけて他者との合併などを検討しています。今までほぼ自由に使えた企業の資金がなくなると、お金の切れ目が縁の切れ目で、御用学者やマスコミを今までのようには使えなくなります。
仮に国営化するとその資金の透明性が求められ、大学に設置されている何億円もの寄付講座や、共同研究などに対して監査が入るように変わります。これだけでも大きな事なのに、多くの被災した人たちへの賠償が何よりも優先すると思います。
企業として、国策会社として見た時に、新しい電力の開発は必要になります。でも、この現状ではさらなる原子力の開発に大金を注ぎ込むこと、見込みの低い研究開発の継続などは非常に難しくなると思います。
これだけ厳しくなることが予想される中に、日本国債の暴落への仕掛けから来る経済の混乱が予想されています。GDPの4割がなくなるほどの変化であれば、税収は不足し、国の予算は組めなくなるので、色々な分野にメスが入ることになるでしょう。
経済産業省、電力会社はその生き残りをかけて策を練っていることと思いますが、この先の変化は大きくて、まず予想しきることは出来ないと思います。
既に6月以降、FRBはQE2という資金提供プログラムを予定通り停止すると公表しています。一部にひどいインフレの芽が出てきているからとのことですが、肝心の不良債権処理が上手く行っているのか、まだ分かりません。むしろ資金の流れが止まるので、厳しい状況が起きてくることになるかも知れません。
この時期に合わせて日本の国債の格付けも1ランク下げられると思います。それでも日本は大丈夫で、まだ国債の暴落に到ることはないと思います。
日本政府をお金、日本国債やアメリカ国債で追い込むことは、困っている日本から利益を引き出そうと考える人たちにとっては当たり前のことでしょう。
政治家が復興資金のためにアメリカ国債を売りたいと言わされるかもしれません。この言葉にアメリカが反応して市場の混乱が起こされることが、心配になりつつあります。
この先アメリカも日本も経済的には厳しい状況に入って行く事になると思います。この状況にあって、資金もない中で、昔通りの利権を守ることなどほとんど不可能と思います。
20mSvが変わるまでに政権が何回交代するか、電力会社の再編成がどの様に行われるのか、この先の経済の混乱が未来を予想することを難しくしています。この難しさが経済産業省、電力会社の生き残り策を打ち砕く事になると思います。
昨日郡山市で見かけた、校庭表面の残土と思われるブルーシートに被われた山の写真と、20mSvの基準の内部被爆の問題点を資料に簡単にまとめてみました。この様な時期でもリーダーがしっかりしていれば、御用学者の言う事より市民の声を聞いた政策が可能なのです。
この残土の山は1mSv以上で放射性廃棄物であり、許可なく動かせない物です。無責任な御用学者の言う事を聞いていると、この様な物の上で授業を強要され、体外と体内の被曝にさらされるのです。
資料には色々な意見もあるかと思います。資料はこの先も修正しながら、20mSvの基準が1mSvに戻るように使って行きたいと思います。
稲生雅之