政府発行紙幣と国債         1月6日

 前回のメルマガで政府が発行する通貨について簡単に触れました。政府発行紙幣は昔から存在していて、普通の国債と同様にその乱発は紙幣の価値を低下させ、信頼を無くすのです。この問題点を突くことで独立した中央銀行のシステムが考えられていますが、結局こちらでも同様に問題は起きていて、これからその問題に向き合うことになるのです。

 どちらのシステムを使っても問題は起きるのですから、今のシステムには何か足らない物があるのです。色々な考え方があると思いますが、過去の歴史に従えば、単純な答えで十分なようです。今の私達向けにアレンジする必要はあると思いますが、それは国家百年の計という言葉に表れていると思います。

 未来の世代に責任を持って財政を運営するのです。現在の私達は大量の国債を発行しており、その償還には未来の世代の支払いが必要になりつつあります。税収の回復の目処もないのに野放図に国債を発行しています。
 赤字国債の発行を禁止する法律は、作られては破られ、作られては破られてきています。今思えば憲法レベルでないと、この赤字国債の発行は止められなかったのではないかと思います。

 江戸時代には藩という制度があって、その一つ一つが独立した国家に近い物でした。これらの国でも財政は存在するのですから、自国の存亡をかけて自分たちの責任で藩を運営していたのです。放漫な経営をすれば財政が傾いて国が疲弊しますので、持続性を重視した経営になっており、国家百年の計という言葉も使われていたのだと思います。

 現在の制度にはこの未来への責任が欠けていると思います。人口の変化も経済の先行きもある程度は見越せる物ですし、人口動態は正確に予想の出来る統計の一つです。これらの予想に基づいて財政は運営できるのですから、収入と支出、債務の限界なども、本来であれば考えやすい物であると思います。

 通貨を生産性の範囲、GDPの範囲で発行することを提案していますが、これに加えて未来への責任を持つことが私達には必要なようです。
 今年は国債の問題が起きてきて、この債務にどの様に向き合うかが問われることになるのです。今のまま何もしなければ、国債が売り崩されて財政の破綻を見ると共に、戦争への道を歩かされる事になるのです。
 
 日本の国債は不正な方法で価格の変動が起きるかも知れませんが、売り崩される事はないと思います。それに対して、アメリカとEUの国債は、彼らの望みに従い暴落して価値をなくして行く事になる可能性が高いです。この時私達は自国の財政状況と向き合うことになりますし、アメリカとEUに絡んで失う経済規模、GDPにして4割の損失と向き合う必要が出てきます。
 私達の赤字国債に頼った放漫経営が、終わりを告げる時が来るのです。

政府紙幣と国債の解析結果
 政府も地方も収入と支出、債務などローンの償還と生産性の制限の中で運営され、未来に対して責任を持つ必要がある。
 夕張のような倒産もあり得る。阿久根、大阪、名古屋などを前例に、財政の問題に向き合うことになって行く。

 阿久根市のことはTVニュースでも報道されています。竹原市長の議会を無視している部分がクローズアップされていて、本来私達の知るべき財政の問題についてはあまり報道されていないのが現実であると感じています。
 市役所職員の54%が年収700万円以上で、80%以上が500万円以上です。これに対して阿久根市民の平均年収が200万円程度なのですから、市民のための役所と言うにはほど遠い状況です。

 恐らく農業に携わる人が多いので、自給自足に相当する分を差し引いて考える必要があると思いますが、普通のサラリーマンの平均年収400万円程度を遙かに超えています。
 終戦から今までの時の流れの中で、公務員の給料は下がることなく今に至りますが、この給料が私達の税金だけでなく、赤字国債から出されていることも、財政的には否定できないと思います。

 民主党は公務員改革をするとしていましたが、公務員の給与を削減することは出来ませんでした。現在の政治の限界なのでしょう。
 この先の未来には国債の問題と向き合って赤字国債の発行の停止と、収支のバランスが要求されることになります。ここまで来てやっと私達は政府の財政を自身の問題としてとらえることが出来るようになるのでしょう。

 ここでは情報の公開も必要になります。公務員の給与や年金が優遇される現状は、赤字国債のツケとして減額されて行くと思いますし、政府の税金にたかる体制は情報公開の前に消滅して行くでしょう。隠れて悪いことは出来ますが、情報公開の前に堂々と悪いことの出来る役所はほとんどないでしょう。

 財政の変化、GDPの減少は私達の生活を直撃します。税金に依存する仕事は将来を考えた対応が必要になりますし、他国の経済に依存した仕事にも変化は不可避となります。
 私達は変化に対応して行く必要があります。国債を守れば、流通がストップしてパニックになることもありません。GDPの減少は一時的に厳しい状況を生み出しますが、その後の発展も可能です。低下する給料に足るを知るの姿勢で臨み、その後の新しい技術や市場へ発展を求めて努力することになるでしょう。

 個人レベルで言えば、それぞれの抱える家のローンを政府発行紙幣で借り換えると、金利の負担から解放されることになります。この政策の実現までには手間も時間もかかるかもしれないと思いますが、この政策はたくさんの人々を給料の減少からくるローンの支払い不能から救えます。返済金額が金利分減るので、半額程度になるケースも多いと思いますし、銀行も不良債権の山を見ないで済むことになります。
 その結果、銀行だけが金利により不労所得を得られる不公平な時代が終わってゆくと思います。

 今まで資本によって利用できなくされていた、メタンハイドレートや麻などに代表される物資や関連技術がだんだんと使えるようになります。経済は一時的に縮小するとも、徐々に回復基調になり、10年程度で元のGDPに追いつくことも可能なようです。

稲生雅之