出口戦略の不在とQEの行方   5月11日

 本日の金融市場は持ち直しに向かいましたが、イエレン議長の一言で大きく調整に向かわないようであれば、その先こそ恐ろしい事態になると思われます。現状上下しながら調整に向かうと思いますし、イエレン議長も追加の発言をして株高の調整には努めると思います。
 口先介入が上手く出来ないとなれば、市場の側に加熱以上の問題があることになると思えます。

 以下ブルームバーグのニュースからの抜粋です。
 「出口はまだ考える段階ではないというより、考えること自体が悪夢だ」-。内海孚元財務官は日本銀行の異次元金融緩和からの出口戦略についてこう指摘する。巨額の国債購入で膨らんだ日本銀行のバランスシートを民間部門が円滑に吸収する可能性は低いとみている。
 内海氏(80)は15日のインタビューで、国債の買い入れ年限を長期化している日銀は、国債需要が減る中で、償還による自然減だけでは資金回収が追いつかないと言う。市場で「売らなくてはならない」が、金利急騰の恐れがあるので「売れるわけがない」と語った。

 日銀の黒田総裁の発言がリークされた状況をお伝えしたことがあるのですが、金融市場における認識はこのレベルの厳しい物になります。現状では出口戦略を全く描けないと思える状況なのです。
 17年の4月に消費税を10%に上げることが出来たとしても、財政状況は改善しませんし、今の景気も株高だけで浮揚観の乏しい展開です。今のままだと彼の言う様に悪夢を呼び寄せるのです。

 株を扱う人々だけがこの政策のメリットを享受し、ツケはしばらくたってから国民が税金で負担するのです。利益の先食いをされているだけで国民の資産を金融業者に渡しているだけとも言えるお粗末さなのです。
 こういった批判もほとんど出ることはなく、マスコミと金融関係者が利益を得ているという構図になるようです。もちろん日米の人々になります。

 政治日程は来年の参議院選挙まで、自民党を苦しめる物はなさそうです。それまで今の流れで進むかと思うと情けないのですが、金融の綻びはすぐに大きな問題になると思います。現状どこから大きな問題が出てくるのか、予想が出来ないところです。
 イエレン議長の調整から少しでも過熱感が抑えられて、数ヶ月でも良いので調整につながると思いたいのですが、もう少しイエレン議長の発言に注目が必要なようです。

 AIIBという中国主体のアジアへの開発資金を供給する銀行に、日米を除く主要国が参加し、利益を求めています。
 日米が共同歩調を取る意味がどこにあるのかと思いますが、他の国々も利益を求めて動く状況であり、模様眺めも良いかも知れません。

 中国も苦しい状況が続いているはずです。通貨元の価値を高めることが出来ているとは思えない中でのAIIBは、ドルでの運用が主体のシステムとなりアメリカの影響を間接に受けるのです。参加国にとってはその方が望ましくドルの利益になります。中国の求める元の価値を高めるために何らかの行動が必要になると思うのですが、金にしても石油にしても中国に動かせる物ではありません。
 ドルの行く末をどの様に考えるか、ここにも影響しています。

 世界の金融の求めるQEは日本が肩代わりをして進めていますが、安倍総理が日米関係のみを重視してその継続を望んでも、その継続が不可能になるときが来るかも知れません。
 アメリカでもリーマンショックの第2段がささやかれるようになっていますが、その時日本も大きな影響を受けるでしょう。

 何でもかんでも対米従属では、物事をうまく動かす事はもう出来なくなるのです。アメリカの戦争を望む人々と、そうでない人々の間にも闘争があり、その影響で政治も経済も動いています。安倍氏は戦争を望む人々にべったりですが、イランの核開発が平和的に決着しそうであるなど双方の動きはそれぞれに活発で、どちらかが勝つという段階ではない状況です。

 経済の流れは、この先の調整の状況でその先が見えてくるように感じます。政治的な物はイランの核開発とその関連が動きやすいですが、関連するサウジのアメリカ離れとも言うべき動きが重要な変化を生み出しそうです。この関連についても改めてここに書きたいと思います。

 本日メルマガをお送りするのは、南の海上での異変が気になるので、関連する台風6号の動きに注意を喚起するためです。
 5月3日に津波を起こした場所の東側で、M5クラスの地震が連続しました。本日の半月トリガーの影響だと思います。箱根山も活発に水蒸気を吹き上げており、この領域の活性化を表しています。

 自然の対処と思われますが、台風6号はフィリピン海プレートの北西部分を通り、まずこの部分に調整をする事になります。前回の記事に書いた九州一帯の火山のエネルギーが調整されることになると思います。
 目的を感じさせる分思ったよりも強い台風になると思いますので、台風の災害には注意をお願いしたいと思います。この台風は箱根山にも影響するのかも知れません。
 また、南の海上には台風7号まであるので、この分の影響も含めて様子を見る必要があるようです。エネルギーの調整が必要な状況なのでしょう。通過後にも影響が起こりますので、そこまで注意を喚起です。

稲生雅之
イオン・アルゲイン