市場の変化と混乱          1月20日

 1月の経済の低迷を予想していましたが、スイスフランのペッグ停止という大きな変化が起きてきました。対ユーロで41%も動いたとのことです。ペッグで弱くされていたスイスフランを強くさせる容認をした物になります。
 この背景にあるのは1月21日に予定されているECB欧州中央銀行によるQE強化の政策発表です。ユーロの価値がさらに低下することでスイスフランはさらなる買いにさらされるのですが、これ以上のペッグによる価格の維持は無駄であると判断したようです。

 1月15日に大きくスイスフランは動きましたが、ここで通貨売買投機業者であるFXの業者の倒産まで出たようです。それほど予想出来なかった動きであり、スイスもドイツも米国の望むQEを受け入れるのは困るという動きの様子です。
 日本はまだQEの渦中にあって、変動する円レートと株価の上下にさらされていますが、政府日銀は支えるしかないという動きに見えています。

 昨年からの石油価格の下落は、アメリカのシェールオイルバブルを潰すための物で、アメリカの政策に反対する物がサウジアラビアとロシアの動きで進んでいると感じさせる物です。
 今回のスイスフランのペッグ終了は、アメリカの望むQEを止める側の動きになっており、アメリカの金融の力が低下してきていることを表す物だと思います。
 一昔前にはほとんど考えられなかった状況ですが、リーマンショックを経てアメリカの金融力もどんどん衰えを見せているのかも知れません。

 もちろん一方的にアメリカの金融が衰退することなど起きないでしょう。取り敢えず1月21日のECBのQEがどの様な物になるかが注目ですが、日銀の追加緩和ほどの物にはならないと思われます。
 事前にスイスが行動を起こした結果として、恐らく大規模な物にはなりにくいでしょう。

 市場に混乱をもたらした物にはフランスのテロもあると思います。911の直後にイスラムの国々で起きたテロリストをたたえる動きが、西側の憎悪を掻き立てた歴史の繰り返しを見るようでした。ISISがらみの犯罪と言うよりも、フランスの政治的な動きとして演出されているように感じられてなりません。
 マホメットの風刺画を載せることが言論の自由なのか、それを越えた相手の価値観を踏みにじる差別や憎悪なのか、少なくとも政治的に利用する側の意図を感じざるを得ない物です。ヨーロッパでISISを戦争の対象に捉える流れを強化したいのでしょう。

 いやな話は続く物で、イスラエルの首相が日本でもテロが起きうると話をしているそうです。今のテロは戦争に絡んで引き起こされる物なので、日本でもたびたびそのリスクは表面化する物です。安倍首相の右寄りの姿勢にプラスに働くように、経済がおかしくなった時に演出される可能性があると思えます。

 事前に確認していなかったのですが、1月にテロのピークが存在していました。十分な解析は間に合っていないのでどれほど可能性の高い未来かまだ不明瞭ですが、EUや日米では確認出来ます。半々程度に可能性は高かったようです。
 EU経済の混乱に合わせて人々の心を動かすには良いタイミングだったと言うことです。その為に偶然起きたのではなく、計画的と感じてしまう物でした。

 日本については2月までその影響が残ります。可能性の高い未来ではないのですが、イスラエルの首相に言われるようであれば、備えが必要かも知れません。世界に向けてISISのリスクを訴える動きですので巻き込まれる必要のない物ですが、アベノミクス経済がピンチになる流れですので、リスクに備えるべきだと思います。

 1月25日にギリシャの選挙が予定されており、現在までの予想では債務の支払いを停止しかねない流れです。ただ第一党が過半数を取れない情勢らしく、選挙の結果混乱が始まり、EUはその状況に介入してギリシャのEU離脱を防げるというのが現状のECBの期待のようです。
 実際にどうかは流れてゆかないと分からない部分を含んでおり、ドイツの負担を重くするだけのEUつなぎ止めがどこまで続くのか、明確ではないと思います。

 ギリシャに関しては一度ユーロを離脱した方が良いのではないかと思います。銀行を守るためのユーロ維持よりも、対策を債務のフォルトで進める方が責任が明確になり未来につながるのではないかと思います。
 結局1月は混乱の始まりであり、3月以降の変化に向けての準備に見えています。

 3月には大きな流れとしてイスラエルの選挙もあります。今の政権は右寄りですが、ここで決まる政権がどうなるかは分からない状況らしく、これからの流れでもあります。
 もしここでイスラエルの政権が中道路線に戻ると、3月の経済のリスクは戦争から遠のく方向に変われると思います。中東でイスラエルは追い込まれていますので、好戦的な姿勢ではうまく行かないと国民が判断すれば、変化が起きる可能性もあるのです。

 イスラエルに対してパレスチナが国際刑事裁判を仕掛ける流れが進んでおり、彼らは国として犯罪国家にされるリスクを抱えているのです。イスラエルのパレスチナに対する傍若無人な部分を世界に告発する物です。
 こういった流れも戦争と経済に影響しているのであり、イスラエルが力で押すだけでは政権を維持出来なくなっている部分が現実的に出てきているのです。

 経済の動きはイエレン議長に重くのしかかってゆく流れです。2月3月とFRBの舵取りは難しくなり、ドルの価値の維持が難しくなる流れが進んでいます。
 シェールバブルを潰す流れ次第かも知れませんが、悪い人たちの望む戦争への流れに対抗する物は、数が増えているように感じています。

稲生雅之
イオン・アルゲイン