2015年前半の経済        1月1日

 あけましておめでとうございます。

 経済の方向性は、日銀の追加金融緩和と2014年末の衆議院選挙で大きく流れが変わりました。この先今の流れがどの様に変化してゆくのかを調べる為に、解析もやり直しをしています。
 当初日銀の追加緩和を未来の選択につながった条件にしようかと思いましたが、現状の経済の大きな流れを作り出しているのは、金融緩和よりも石油価格の下落です。

 2014年には110ドル台まで上昇した石油価格ですが、現在は約52ドルです。半値まで急速に下げており、OPECは減産を予定していないので、もう少し価格の低下するのを容認するらしいと言われています。
 この影響を大きく受けたのがロシアで、ウクライナとの紛争に関連して欧米と争っており、ルーブルが投機筋の売りを受けて80ルーブルとこちらも一時的ですが、12月半ばに半値に下げたことがありました。現状は約62ルーブルをつけています。

 世界で見れば、アメリカのFRBがQE3を止めにしたので、世界から投機資金が失われて株価下落、景気後退が始まるところでした。日本の景気も追い込まれていましたので、アベノミクス失敗をごまかすための追加緩和と衆議院選挙となりました。
 その結果は選挙前とあまり変わらぬ結果となり、与党の信認は取り敢えず得られる事になりました。ただ、この状態がどれだけ続けられるのか、安倍首相にも分からないのが現実ではないかと思います。

 これまではQE3やウクライナの紛争を条件にして未来を見てきましたが、世界を見てゆこうとするならば、時の流れに合わせてより影響の大きな物を選ぶ必要があります。日本やEUに期待されるQEよりも、大きな変化を生み出している石油価格の下落を条件に選ぶことにしました。
 条件は通常2つは選ぶので、残りの一つはイスラム国・ISISにしています。こちらも2014年から始まった流れであり、中東情勢に大きく影響し、石油価格の下落にもその遠因となっているのです。

 解析としては日本なら追加緩和か衆議院選挙を入れる必要があると思いますし、アメリカなら中間選挙の負けを反映するなど、場所ごとの特徴も入れる必要があると感じています。まだここまでの作業が間に合わないので、これまで同様の解析結果の公表です。
 新しい物についてはまだあと1ヶ月くらいは評価に時間がかかると思います。

 現状の結果ですが、可能性の高い未来に2015年3月の株価が出てきました。様々な所に大きな重なりが見られています。その時通貨は下落というか、あおりを受ける感じでした。
 株価が低下するのか、それとも暴騰してインフレになり価値を失うのか、そこまではまだ分かりません。注目を促す出来事が起きる可能性が高いというレベルです。

 解析の流れで行くと、1月には市場の下落につながる崩壊が出ているところが多くあります。今続いている石油価格の下落が株価に反映し、12月まで続いた株価の暴騰を止めることになるのではないかと思います。
 日銀の追加緩和と衆議院選挙の勝ちで、一時的に良い材料になるのは理解します。それでも石油がこれだけ下がって経済に変化を生み出さないというのは無理な相談です。

 先に解析上のリスクを見ておくと、2,3月には政治的な崩壊に可能性が指摘されており、3月の混乱はその結果であるかもしれないと思える状況です。
 もちろん可能性が高いだけの未来なので、何も起きないこともありますし、大きな変化にならずに先送りされてゆく変化で済むこともあると思います。
 その場合の続きが5,6月に出てきますが、こちらはそれほど可能性が高くなく、その後は秋以降の変化に続いてゆく感じです。ここまで何事もなく進むのではなく未来を動かすイベントが発生する感じです。

 ロシアはルーブル下落により国債のデフォルトがささやかれるほどですが、解析上はリスクの高まる時期は3月です。1月は市場の混乱までだと思われます。ウクライナ情勢も緊迫すると思いますが、アメリカの市場の利益確保対策でしょう。
 アメリカは3月15日が財政の崖になっており、債務上限の修正がまたもや必要です。この1ヶ月前の2月から株価が不安定になるのはこれまで通りかも知れませんが、1月も含めてこの時期に向けて市場の変化を演出するでしょう。

 中国にも変化は同様に伝わり3月の株価には注意が必要です。こちらは2月に政治的な変化に注意が必要になり、3月の全人代で変化が見えてくると思います。
 ロシアだけでなく中国の変化にも注意が必要です。習近平氏の目指す法による統治はうまく進んでいない感じです。腐敗対策も大物は周永康氏の処罰で終わる情勢を見せており、習氏の統治能力が限界を見せている様子が垣間見られています。
 この状況で中国の経済も世界経済の変化に巻き込まれますので、状況次第で大きな混乱を生み出すでしょう。これは起きるならアメリカがらみだと思います。

 こちらの調べる範囲では、現在の石油価格の下落はOPECのサウジが主導しており、目的はアメリカのシェールバブルつぶしです。アメリカの軍産議会複合体のISIS育成による悪影響がサウジにもろに及ぶので、これに対する対処でもあります。
 もちろんサウジ一国ではこれだけの事は出来ないので、もう一つの協力国があり、それがロシアです。プーチン大統領も1年くらいは我慢する気で進めていると書かれています。

 アメリカのシェール革命が嘘っぽいことはここに何度も書いています。実際に油井の寿命は短いままですし、シェール開発向けのジャンク債という高利回りの債券による投資が続かなければ、新規油井の確保が続かないのです。その均衡価格が1バレル80ドルなのかもっと高いのか、それとも低いのか、明確には分かりません。
 これを崩す側としては、1バレル40ドルでの情勢の変化を見ようとしている段階らしいです。目標設定価格としては十分だと思います。

 アメリカではリーマンショック後にQEを繰り返して何とか市場を維持してきましたが、FRBのバランスシートは大きく悪化し、次なるリーマンショックには耐えられるか分からなくなっています。
 この次なるリーマンショックに相当する物を引き起こそうというのが、今の原油安の流れでシェールバブルの崩壊なのです。恐らく1月の市場の下落と2月の財政の崖騒動までは織り込み済みでしょう。その後に本番とも言うべき3月を迎えます。

 この時点でアメリカがFRBに体力の残りなくもうドルの減価しかないと判断すれば、ここから大きな変化になる可能性があります。ドル資産を持つ中国には苦しい展開が待っていることになりますし、日本も米国債の減価に苦しむでしょう。逆ニクソンショックによる金他の資産のバスケットなど新しい通貨価値の模索が始まるかも知れません。
 何度もぶり返すこのお話ですが、今年は越えられるのかどうか、苦しい展開です。

 中国の経済はどんどん悪化しており、いよいよ経済の粉飾も難しくなる段階です。成長率が保たなければいけないと言われた8%を切って7%台になっていますが、同じ水準であるべき発電量の伸びは5%を切っており、不動産価格もほぼ中国全土での下落になっています。土地バブルのツケの回る段階であり、混乱が始まろうとしている所です。

 この様子はアメリカもよく見ているはずです。彼らがこの状況をどの様に利用しようとするのか、もう少し分かると良いのですが今はここまでです。
 市場経済の管理が行き届いている中国に、大きな混乱を引き起こすことはアメリカにも難しいと思います。ロシアも我慢戦略なので、3月はこの駆け引きの行方で未来が決まるように感じています。個人的には、ここは先送りして中国の問題が膨らむのを待つ方が米国側のリスクが小さいと思います。

 アメリカのシェールバブルも中国の土地バブルも、世界を大きく混乱させる材料です。この問題の解決を数年単位で進める中で、新しい経済のあり方が模索される事になります。中国では習近平氏の能力の限界が地方の分裂を誘うことになりそうです。
 金融を操作しても一時的な先送りになるだけでなく、問題を大きくしてしまうことが理解されるようになるでしょう。自分たちの選挙の任期にしか関心がなく、未来に無責任な政治に国民が不満を持つのです。

 アベノミクスにも混乱は同様に訪れると思いますが、市場は米国や中国ほどひどい状態ではないので、相対的に大きな混乱は避けられると見ています。
 それでもその中にあって、国民が政府の問題と向き合えるようになってゆく、変化を生み出して行く重要な年、変化の始まりの年になると思います。そして来年の2016年の参議院選挙では政治に変化が起きる可能性があると感じています。

 こちらは放射能の反動の関連が一番でその活動が進む年になると思います。選挙で出版時期が伸びた分資金繰りに苦しんでいますが、本も原稿を修正し論文も通して何とか出版する予定です。がんばるのみですが、今回は書くべき事のためにぎりぎりまでがんばったので正直苦しい情勢で、その中で地震や噴火を先延ばしするために地震予知を書けなくなったのがつらいところです。ご理解頂ける方にはご協力をお願い致します。
 本年もよろしくお願い致します。

稲生雅之
イオン・アルゲイン