特許対策の続き          12月21日

 前回このHPで常温核融合の話を書いたのですが、書ききれなかった部分があるので、その続きの紹介です。こちらには特許取得の意志がないので、公知の事実にする必要があっての作業です。
 分かりやすく簡単に説明しますが多少専門的でもあります。理解出来なくて普通ですので、すみませんがその点はご承知置き下さい。場の量子論まで出てきますが、その結果で得られる利益は多くの人々にも理解されると思います。

 まずは常温核融合の続きです。前回水素原子が強電場でつぶれて放射性セシウムに取り込まれて無害化する可能性まで説明しました。これは今の微生物中で起きている反応ですので、微生物による除染を進めることに大きな意味があるという事を理解してほしくて書いています。表土をはがす除染とは異なり、放射性セシウムの存在その物を減らすことになりますので、汚染された土地の農業への利用に道を開いてゆく技術であるはずです。

 農業への利用は他にも組み合わせる技術があり、セシウムの農作物への取り込みを抑える必要があります。この点で努力を重ねている人々もいますので、汚染度の低いところからセシウムの被害を取り除き、高いところに向けて対処を進めてゆくような流れで農業を出来る形に土地を取り戻してほしいと思います。
 放射能対策は生活する場だけでなく自然も元に戻さなければ対策は十分にはなりません。表土をはぐのは難しくても微生物の利用であれば、費用対効果的には有効でしょう。

 1980年代に始まったのが常温核融合の研究で、当時からパラジウムを電極にして重水素をヘリウムに変える実験が行われていました。パラジウムは電気陰性度というマイナスの強さが他の物質と比較して水素に最も似ているので、水素を自分自身に大量に近づける性質があるのです。
 この性質を利用して重水素同士を接近させて、核反応を引き起こしヘリウムを生成する中でエネルギーを得ようとしてきたのです。

 電子軌道のつぶれの概念をここに加えるのみならず、過剰中性子核種の中性子スキン・ハローの利用まで加えます。
 パラジウムには大きな電流が加えられたり大きな振幅の電圧が加えられることで、強電界をパラジウム表面に発生させて重水素原子をパラジウムの内部に取り込んでいたと思われます。すると小さくなった水素原子がパラジウムの内部に存在することになるのですが、小さいだけに重水素同士がぶつかって核反応を起こす確率が非常に低いことになっていたのです。

 ここまでの研究はアメリカ国防総省が常温核融合を推進した結果、エネルギーが再現性を持って少しだけ生み出せるという事実に現れています。もちろん理論はついていけないのですが、再現性のある結果であったことが重要で、使えないエネルギーに分類されることになったのでした。

 Cs137の無害化で見たように、過剰中性子核とは反応が出来るという事実を加えると、エネルギーの生成効率を改善する方法が見えてくるのです。これは単なる想定にされる部分ですが、核物理の理論も一通り理解しているつもりです。メカニズムが理解出来れば、その手法を改善してゆく事は暗中模索状態と異なり簡単になるのです。

 重水素とパラジウムが反応出来ない理由は、生成核が不安定核になるからです。物質は安定状態に向けて反応を起こしますので、エネルギー的に不安定な状態にはなれないのです。この点は他の常温核融合のデーターとも矛盾しませんので明らかな現実です。
 使うべき電極の素材は過剰中性子を持って存在出来る物質であり、候補はウランやプルトニウムなのです。これらの物質は電気陰性度が水素原子とは異なるので、ナノ構造の利用からパラジウムの利用まで様々な工夫が必要になりますが、ウランやプルトニウムの中性子スキンはCs137同様につぶれた水素原子を引き込めるでしょう。

 この実験が必要であり、常温核融合の未来を開いてゆくと考えています。
 この先には効率を上げる開発が続き結局ウラン電極型と、微生物を参考にするイオンチャネル型の双方が生み出されて利用されるようになると思っています。
 この先もあって、電子軌道のつぶれと中性子スキンを利用する衝突型の核融合炉まで進むと思います。水素を吸着したパラジウムとウランやタングステンを衝突させて、ウランやタングステンに水素原子を取り込む方式です。

 ウランは大きなエネルギーを加えると自発核分裂を起こして放射能を発生するので、この方式の試験にのみ使います。自発核分裂を起こさない重元素がその代用として使われる必要があり、候補はタングステンなどです。反応により大量のプラズマが生成されますが、高速中性子の発生という大きな放射能問題を抱える今の熱核融合炉よりも簡単にエネルギーを引き出せます。

 あと一つ公表の必要な概念があるので、もう少しおつきあい下さい。SFに見えると思いますが、こちらも新しい概念の提唱です。質量獲得メカニズムへの干渉です。
 訳の分からない言葉だと思いますが、重さを制御したいのです。重くすることは出来ないのですが、軽くすることには可能性があるのです。

 南部陽一郎先生の提唱で質量の生まれる仕組みが明らかにされています。ヒッグス粒子の検出がノーベル賞になりましたが、私たちはやっと物質の重さのメカニズムを理解しつつある段階です。
 物質の重さは物質固有で生まれた始めから存在する物ではなく、存在する場との関係から生み出されている後天的な物なのです。後天的に獲得される物であれば、その獲得メカニズムに干渉して、重さを軽く出来る可能性があるというのがこの話です。

 南部先生のおかげで物質の質量が、量子場のクオークのペアの電気抵抗により生み出されている可能性が指摘されており、このメカニズムがスーパーコンピューターでシミュレーション出来るようになってきました。まだ陽子一つの重さの計算で精一杯らしいのですが、それでも電気抵抗が質量を生み出すというのは大きな驚きでした。
 クオークペアには沈殿という言い方の反応が起きて、物質の構成クオークに対して群がるような状況が起き、その時に電気的な抵抗が発生して質量になると言うことです。

 このクオークペアはプラスとマイナスの電荷を帯びて対になっている物です。すると電気的には動ける物なので、ここにらせんの力を加えることで、このクオークペアを回転させたいのです。らせんの力はこちらの提唱している物ですが、ここでは単純にはプラスとマイナスの電荷のペアを回転させて生み出す回転電場です。
 らせんの力を量子化して場の量子論に対応させる必要まであるので、計算は現状お手上げです。ただ、この計算が今出来なくても質量側の影響は計算可能です。

 概念としては質量の原因であるクオークペアを回転させることで、沈殿と呼ぶ物質の構成クオークとの相互作用を小さくできるはずなのです。回転運動が始まると一つの物質構成クオークから見ると、クオークペアのプラスとマイナスから生み出される電気的力が回転によりキャンセルされて、電気的影響が小さくなるのです。その結果クオークペアに電気的遮蔽効果を発揮させられるのです。質量が電気的に生み出されている以上、電気的に適切に干渉すれば質量は変えられるはずです。

 質量の98%までがこのメカニズムで干渉可能で、残り2%がヒッグス場への干渉で行う必要があります。こちらはどうすればヒッグス場の非対称性を崩せるのか具体的なことは分かりませんが、ヒッグス場にエネルギーを渡すと対称性が回復する可能性があるので、将来課題で残るにしても干渉には手法が提唱されることになるはずです。

 話はこれで終わらなくて、質量が制御出来るとすぐに宇宙で使えるエンジンまで完成します。こちらが慣性エンジンと呼ぶ物です。仕組みは至極簡単ですが、これまでのロケットと異なり、推進ガスがなくても推力を生み出します。エネルギーがあればどこへでも動けるようになるのです。

 雪上車のキャタピラーを例に取ります。キャタピラーは回転させると慣性力で雪側にかかる力とその反対側にかかる力が釣り合います。この時に雪側のキャタピラー半分を無質量化します。すると残り半分にかかっている力がキャタピラーを動かす事になるのです。作用反作用も運動量保存も成り立つ必要があるので、運動量は真空の量子場に捨てられる形になります。この話はぴんとこなくて普通です。

 探査衛星ハヤブサのイオンエンジンで言えば、イオンを宇宙に放出してその反動で推進しています。このイオンを筒の中に放射すると、筒の底に当たる力と押し出す力が釣り合うので、そのままでは動きません。ここでイオンが筒の底に当たる前に無質量化すると、底に当たる力がゼロになってイオンを押し出す力だけが残ることになるのです。ここでも動く勢いである運動量は真空に捨てられるのです。

 ここに書いている物は、地球の静止軌道へ上がってゆく為のもう一つの方法です。軌道エレベーターも現実化出来そうな勢いですが、私にとってはこちらの質量の制御技術が本命です。特許にならず誰もが使える様になれば、人工の隕石が爆弾になり核兵器を抑止出来ることは誰もが理解出来ることになると思います。

 あとはワープを実現すれば、宇宙人を探しに行けると思います。ワープは統一場の理論がもう少し進展しないと考えにくいのですが、次に出す本の中にアイデアは公表します。こちらの提唱する物ですので、ブラックホールに入るなどの実現不可能な事の提唱ではなく、可能性のある物です。まだ論文に書けるレベルではないのですが、アイデアは提唱しておけばその方面の進展が進むと思っています。この点は本の購入を促すネタですみませんが、少しですがSF的に書いておきたいと思っています。

稲生雅之
イオン・アルゲイン