辺野古のメガフロート化と原発再稼働の再検討のお願い 詳細記事1

1)辺野古の米軍向け空港基地の移動式メガフロート化について

 今年の11月の沖縄県知事選挙では、辺野古への基地建設反対を表明して選挙を戦った知事が当選されました。県民の基地反対の意志が明らかになったのですが、政府は粛々と基地の建設を進めるとのことです。
 政府与党にとっては対米約束事項でもあるので、この日本の国益と、日米安保を通じて協力し合うアメリカ、米軍の利益が重なることが重要です。ですが、沖縄県民だけでなくアメリカ議会にも米軍関係者にも辺野古移設に反対の人々がいます。

 自然を大きく損なう基地を何故貴重な自然の存在する辺野古の浜を埋め立ててまでする必要があるのでしょうか。
 今の計画では辺野古を埋め立てて建設することになっていますが、これでは政府関係者の土地利権と埋め立ての砂利利権の産物であると言われる状態だと思います。メガフロート化への計画変更は県民のためにも、尖閣列島での紛争時のリスクを下げるためにも役立つでしょう。

 この記事の読者の皆さんは、防衛省・自衛隊の発行している防衛白書という物を読んだことがあるでしょうか。名前くらいはニュースで聞いたことがあると思いますが、実際に読んだことのある方は非常に少ないのではないかと思います。筆者も今回軍事の関係を検討するために始めて購入し、その恐るべき内容に目を通すことになりました。

 私たちの多くは、学校教育で第2次大戦後の政治状況を教えられていません。この戦争の敗因と向き合うことなく今に歴史が流れているのであって、当時どの様にして戦争に負けていったのかを知る人は少ないのです。ただただ戦争は悪いことで、平和を求める心のみが受け継がれている感じです。

 筆者が準備中の本の説明ではこの重要な敗因の解析も行っています。単純化すれば無責任が横行したことで、どんどん状況を悪化させていったという物です。誰も作戦失敗の責任を取らないし、戦艦大和をレイテ海戦において敵前逃亡させるという死刑に相当する大罪を犯しても、責任追及も何も起きないのです。信賞必罰は組織を守る基本なのですが、全く機能していませんでした。

 戦後は世界の政治も大きな混乱を続け、その影響を日本の政治も受けているのです。当時は旧ソ連の台頭が著しくコミンテルンと言われる共産主義者が、多くの場所で力を持っていました。日本においても同様です。
 日本の現在の憲法はGHQと呼ばれる主に米軍の管理下に置かれて作り出されたものです。このGHQにはたくさんのスパイというか隠れ共産主義者が存在しており、戦後50年もたって公開された当時の資料からその実態が、今になってやっと明らかにされつつある状況です。私たちの憲法は彼らコミンテルンの影響を実際に受けているのです。

 その結果なのですが、日本の政治は大きく二つに分かれており、三番目の人々も少数ながら存在する情勢です。一番目の人々はもちろんアメリカに従い対米従属路線を歩む人々、二番目の人々はこれに逆らいコミンテルンの流れを汲む中国に従い未来を作ろうとする人々、三番目が自国の事を考える人々です。
 戦後長らく続いた東西冷戦による対立は、日本の政治の中にこの種の陰を深く落としているのです。

 私たちに関係のある政治家の誰がこの3つの流のどれに属しているのか、明確に分かると良いと思います。一般には与党の中に対米従属派がいてその一部には中国擁立派がいます。自国が第一の自国派は少数だと思います。
 情勢を分かりにくくするのは、政治家ですから時の流れに応じてころころ立場が変わりますし、騙し騙され互いの利益を調整しながら政治が動いている現実がある事です。

 彼らを動かす側にも配慮が必要です。中国擁立派は中国共産党と人民解放軍の言うことを聞いていますが、対米従属派には戦争やりたい派の共和党中心と思われる人々と、戦争反対派のオバマ大統領につながる人々がいます。こういった人々の動きの中で政治情勢が作り出されているのです。

 ここで現在の政治情勢を見てみましょう。誰もが知るのが尖閣列島の帰属に関連する紛争です。今現在先日の合意文書で日中間の緊張は緩和されています。あまり知られていませんが、この合意には日英と中国語の間に差異が作り出されており、問題をいつでも蒸し返せるように配慮されています。

 こういった差異は3000年も前に作り出された平和条約の流れを汲む人類の知恵です。戦争に負けた側にも国内向けに勝ったと言わせて、敗者のその後の統治を助けるのです。ですので、玉虫色の解決とは政治的には様々に利用出来、日本だけでなく中国側も現状の平和的演出を望んだと言うことです。

 ちなみに平和条約が無視されるのは、旧ソ連の太平洋戦争参戦からも明らかです。最後は力が物を言っているのがこの世界の現実であり、今の国連も常任理事国の横暴には止める手段を持たないのです。
 昔から談合し騙し合うのが歴史に残る私たちの姿です。

 尖閣列島にはクウェートの埋蔵量に匹敵する石油があるらしく、この石油を求めて中国は日本に領土問題を仕掛けています。
 これは現実には中国が力ずくでこの場所を取ろうとしている動きですが、この最大の理由は、中国共産党が人民解放軍の力の上に成り立っているからです。軍の行動原理である戦争への行動を抑えられなくなっていると考えられるのです。

 実際の中国の内部は腐敗が激しく、よく知られるように政権幹部がドルの大金を持って海外に逃亡していますが、政権闘争が暗殺されるか失脚するかの、非常に厳しい情勢になっているようなのです。政治の中枢にまで軍の関連の暗殺が及んでいるのですが、この種の実態にはあまり関心が持たれず、どちらかというと経済の投資のために都合の悪い物として隠されています。

 この事態の現実はきちんと評価すべきです。政権内部の争いに海外への紛争の演出という事にまで既に及んでいるのです。
 今年の春にベトナムと中国の間で領土の問題が起き、石油リグの設置に絡んで大きな衝突と問題が起きました。この時中国では石油閥と呼ばれる上海の江沢民派が、逮捕されている周永康という元政治家を守ろうとする動きであったと言われています。彼の処遇はまだ決まらないようですが、この事実こそ政権内部の激しい争いが今も続いていることを表しているのです。

 私たちの考えるべき事とは、中国は自国の政権内部の争いに平気で対外戦争を使うという現実です。自国の法律で他国の領域を自国に編入し現実に実効支配を及ぼして奪い取ってしまうのです。フィリピンはこの行為に困っており国際裁判に訴えていますが、勝ったところで常任理事国がしていることを止めさせる軍事的実力はありません。実際にどうなるかは誰にもまだ分からないのです。

 尖閣列島はフィリピンの様に中国の領土に宣言されて、これから実効支配が引き起こされる段階です。人民解放軍が外部に膨張し戦争をしたいのですから、これを止めることには様々な知恵が必要になります。中国が平和的に6つくらいに分裂してゆくか、それとも戦争に至ってしまうのか、未来の話は本の中でご説明致します。
 尖閣列島については、今あからさまになっている現実を知る必要があるのです。

 意外に思うかも知れませんがこの戦争で重要な物に、北朝鮮の動向があるのです。多くの人は北朝鮮と言えば、暴力団のように金と支援を求めてミサイルをぶっ放す物騒な国としか思われないかも知れません。この北朝鮮は実態としては中国の支援で生かされてきたのです。金正日の時代はその様な関係が維持出来ていたのですが、金正恩に変わり情勢が一変しているのです。

 北朝鮮は中国の支援を一年以上も止められています。毎年50万トンもの石油、50万トンの石炭と50万トンの穀物です。肥料であると言う話もあったと思いますが、これらの中国からの無償支援が止まったからこそ、昨年の北朝鮮のミサイル発射や核実験の駆け引きが引き起こされているのです。拉致被害者の交渉再開も同様なのです。

 これが現実的に何をもたらしているかですが、韓国の立場の大きな転換です。中国が北朝鮮を刺激すれば、北朝鮮はすぐにでも韓国に戦争を仕掛けざるを得なくなるのです。
 この戦争が起こされれば、韓国では非常にたくさんの人々が戦争で亡くなることになるでしょう。このリスクを考えてほしいのです。このリスクこそ、今朴大統領と韓国を反日運動に走らせている中国の圧倒的な力なのです。

 北朝鮮の軍事的暴発を中国が誘発する場合に、これを日本に向けるようにしたら、何が起きるでしょうか。これも考えてみてほしいのです。日本に戦争を仕掛けるくらいの口実はたくさんあるので、問題は彼らが何をするかです。
 北朝鮮単独で暴走するケースは検討されたものがあり、島根原発や若狭湾の原発など日本海側の原発へのテロになります。小型の軍艦を出して日本を威嚇することも出来るでしょう。これは軍事専門家の意見だったと思います。

 今このリスクがあるとして、これを動かす中国が同時に何をしたら軍事上の得をするのか簡単に考えただけでも分かると思います。尖閣への侵攻と同時に行わせるのです。状況によっては彼らを先に動かし、日本の自衛隊の戦力が日本海に集中したところを見計らって尖閣を占領するのです。日本にこの備えは出来ているでしょうか。

 尖閣に中国が侵攻するのは難しいと様々に意見が出されています。出版されている本で調べると、今の政治状況を反映してきれいに三派に分かれるのです。

対米従属派 米軍がいるから大丈夫と思う。
中国擁立派 中国の土地だから戦争せずに差し出せ。自衛隊を殺人に行かせるな。
自国派   多くの自衛隊員が死ぬ可能性がある。

 この区分を見てあなたならどの様に感じるでしょうか。実は自衛隊は専守防衛しか出来ないので、最初に攻撃を受けるまで武力を行使出来ないのです。これは良く知られた現実ですが、遙か昔ミサイル攻撃が普通でない時代に作られた物なので、今の防衛には戦術に合わず使えないのです。
 現在は大砲の弾がいい加減な命中率で飛んでくる時代とは異なり、ミサイルの先制攻撃を受ければ大きな損害を出さざるを得ないのです。自衛隊員の多くはこれだけのために亡くなると思われますし、艦船も含めて貴重な防衛戦力は無駄に失われるのです。

 加えて日本の防衛戦略で白書にも書かれている物が島嶼奪還作戦です。米軍と一緒に行動する所が演出されていますが、島嶼奪還作戦の実態について考えてみてほしいと思います。敵が防御陣地を築いて占領している島をどうやって奪還するのでしょうか。
 この種の作戦には攻める側に5~10倍もの戦力が必要なのが、過去の戦績です。今の戦術では400人で奪還するとしていたと思いますが、この中の何人かが戦争では亡くなることになります。

 占領している中国民兵がどれくらいの規模になるのか分からないのですが、あなたがもし中国の司令官なら、防衛に十分な戦力を配備するでしょう。人民解放軍には人海戦術が可能であり、何百人もの部隊になって当然です。それぞれが防御陣地を築いてそこから大砲やミサイルを撃ってくるのです。

 この状況に島嶼奪還作戦と称して400人を突入させるのは、筆者にすれば自殺行為です。全滅してもおかしくないのです。5000人でも大きな損失を出し、しかも奪還など間違っても出来ないでしょう。
 一度奪還出来ても、こちらの人員が戦いで消耗し、劣勢になるまで人員を追加派兵し続けるのです。朝鮮戦争でも、中越国境紛争でも明らかになった人命の損耗を厭わない中国共産党と人民解放軍の作戦です。両戦争においては多くの人命の犠牲の下に必要な結果を出してきたのです。

 以来時は流れて人民解放軍も一人っ子世代の兵士が大半になっていると聞いています。この意味では人海戦術は難しくなっていますが、彼らにはメンツという生きてゆく上での最重要事項があり、軍人としてのメンツをかけて尖閣の占領に及ぶ可能性があるのです。
 人海戦術には、その作戦への参加をためらう兵士を督促する部隊まで存在したのが過去の歴史です。逃げると後ろから味方に銃で撃たれるのです。兵士が生き残るには死ぬかも知れない戦場でも突入してゆくしかなかったのです。まさに独裁のなせる技だったのです。

 民間の予想では尖閣へ侵攻が起きる場合は同時に沖縄本島への島民によるゲリラ攻撃と、先島諸島全島への上陸も可能性が高いとなります。これらの島には自衛隊の守備部隊は存在せず、なぜか2018年までに部隊を派遣するというのが現状です。
 良く考えてみて下さい。島を守る方が楽か、攻めて取り返す方が楽かです。誰が何を言おうが、軍事の常識として守る方が楽なのです。そして軍事作戦上尖閣の占領を維持するには先島諸島の占領も非常に重要なのです。中国はすでに琉球列島全体の帰属を要求していることを忘れないで下さい。

 戦術の観点から考えても防衛白書に書かれている島嶼奪還作戦は、防衛戦略としてはすぐに実施すべき尖閣と先島列島へ自衛隊を配備する島嶼防衛作戦よりもはるかに大きな損失を招くのです。
 残念なことにこの作戦は人員という戦力の多い敵側に有利なだけで、戦力の逐次投入という戦術の愚策に追い込まれるのは明白であり、敵の戦術研究もしない軍事の素人レベルの愚劣な物であることに間違いありません。明らかに政権のシビリアンコントロールの失敗例なのです。軍事を理解してる人々の物ではないでしょう。

 有事では急遽尖閣を守るために部隊を派遣しても、最初に攻撃を受けて大きく被害を出すしかないのが今の自衛隊の法律です。今のままでは私たちの同胞である自衛隊員の多くの人々が政府の無策により無駄死にさせられるのです。ここにも明らかに政権のシビリアンコントロールの失敗例があるのであり、法律が時代に合わないのです。
 この後無理して島嶼奪還作戦などを行えば、さらに被害を広げるのですが、政府は国としてのメンツをかけて無理矢理これを実行し失敗させるでしょう。

 ここまで進めば、日本国民は攻めてきた中国憎しで団結するでしょう。戦争への道が開かれて戦力は充実させられて行き、本格的な装備を調えてから尖閣と先島諸島の奪還に望むでしょう。国民がこれを願うにしても、たくさんの人々が亡くなるでしょう。
 もちろんこの時に原発が稼働していれば、中国からのミサイル攻撃の対象です。こういった場所の破壊は日本の戦意を削ぐために実行されるのです。国土は荒れ果てて戦勝しても何のために戦ったのか分からないでしょう。残る物は大きな戦費の償還と放射能への対策です。国の財政は破綻しかねないのです。

 中国は今、リーマンショックの後の4兆元の投資の回収で非常に大きな苦しみが始まるところです。この投資で世界経済を牽引出来たほどですが、この回収は全く上手く出来ておらず、これまでに投資した土地の価格の全国的暴落が隠せなくなったところです。8割以上の地区で土地バブルははじけ飛び、経済の困窮が始まろうとしています。

 この現実は日銀黒田氏の追加金融緩和により一時的に経済が回転しても、この回収時に私たちにも起きる事です。麻薬は最初が楽で後が苦しいのです。日銀はこの回収である出口戦略という物を時期尚早として公表しませんが、今の状況では悪い話しか出せないし現実的にも公表すれば総スカンが見え見えなのです。

 中国に戻りますが、いよいよ来年、中国の人民解放軍の暴走が始まるかも知れないのです。軍にお金が回らなくなるからです。これを何とかする準備が各地での今の紛争でありその先にある戦争なのです。
 北をけしかけて日本を刺激すれば、尖閣での勝ちは間違いないと考えているはずです。ここで多くの人が頼りにする米軍の現実も簡単に説明します。

 米軍は予算的にも世界最強の軍隊ですし、これを否定する意見はないでしょう。ただし、将来の流の中で彼らがずっと1番でいられるかはもう分からなくなりつつあるのです。
 異変は2003年に既に起きています。これも知られる事実ですが、米国軍がイラン軍を攻める場合に勝てるかどうかを軍事演習した物があります。机上の演習ですが、この種の演習は100年もの歴史がある物で、この演習の結果は実戦の結果をかなり正しく反映します。古来より用いられている重要な手法です。

 その正しさは第2次大戦のミッドウエーの海戦でも証明されています。日本は負けると言う結果が出たのに、途中の経過を捏造して勝利するように状況を変更したのです。実際の戦争の結果はよく知られるように日本の負けでした。これほどまでに重要で意味のある物が机上の演習なのです。

 イラン軍との模擬戦争の結果ですが、米国は勝てないだけでなくあの最強と言われる空母まで失っているのです。もちろんイラン革命防衛隊の特攻的な攻撃であろうと推測しますが、空母は現在の攻撃には脆いのです。
 米軍はこの現実が出た時点で戦力のあり方を見直さなければいけなかったのですが、軍部は問題に向き合うことがなかったのでした。

 米軍の空母を沈める方法は、冷戦時代には飽和ミサイル攻撃と呼ばれる防ぎきれないほどの量によるミサイルの同時攻撃でした。今はこれを実行する旧ソ連軍はなくなっておりロシア軍にもその意志は引き継がれていません。
 これに対して、中国軍はA2AD戦略という物を実施しています。アメリカの空母を中国に近寄らせない戦略であり、大量の弾道ミサイルと巡航ミサイルが既に準備されています。

 今の時点では弾道ミサイルを移動する空母に当てる事は難しいという議論が先行していますが、軍事技術は日進月歩です。ミサイルは当たらないけれども機雷や魚雷を運んでこられるとその対処は非常に難しくなりますし、この状況が起きれば尖閣への共同作戦はほぼ不可能になります。もちろん同時に核を使うという脅しも起きるのです。

 もともと一隻で何千人もの乗組員と、2兆円近い機材の塊は、相手にとっては打撃を与える大きな目標なのです。攻撃に脆弱なところに大きな資源を集中させているという現実が明らかになった以上、大きな被害を防ぐためにもこの空母戦略は変えないといけないのですが、これまでアメリカの力を誇示してきた物を簡単には変えられないのが人情です。
 アメリカがリスクを背負って日本を助けに来てくれるのはありがたいのですが、空母が沈めば世界情勢まで変わってしまい、日本が中国に従わざるを得なくなる可能性まであるのです。

 もちろんもっと困る展開もあり、アメリカが問答無用で核による報復を中国に行う事です。核の応酬は収拾が付かなくなれば、世界を大きく破壊するでしょう。それでも中国がアメリカの空母を沈めると状況次第でこの可能性が高まるのです。米軍の強さの源泉が核戦力しかなくなってしまい、これを使わざるを得なくなるのです。

 アメリカの空母は中国の潜水艦にも近寄られることが起きており、これは2006年に訓練中の空母キティホークの数キロ近くに中国の潜水艦が浮上したという大事件でした。潜水艦の能力向上が現実に著しく、今も進化しているのです。
 訓練中ですし、わざと近寄らせたとの声もあるにはあるのですが、アメリカとしてはメンツを失うだけではなく空母の脆弱性が実際に明らかになった瞬間でした。空母はどんどん時代遅れになってきているのです。

 普天間の移設基地がメガフロートで作られることが、1990年代には検討されていました。この当時は空母にある弱点がそれほど顕在化していなかったのでメガフロートを軍事技術として利用することにアメリカも乗り気ではありませんでした。
 2003年の机上演習と、2006年のキティホークへの潜水艦近接事件により、現在の情勢は大きく変わっていると思います。

 この時代遅れの空母の代わりになるのがメガフロート技術を利用した空港の空母です。鉄の塊を浮くように空洞を持たせてつなぎ合わせた空港です。滑走路の長さが700mから1.6km程度の物を作ると、陸上向けの戦闘機も運用可能でミサイル攻撃への艦載機の防御も分散して配置出来るし、魚雷もミサイルにも耐性の高い構造物に出来るのです。今の空母のように簡単に沈まない物が私たちの技術で作れるのです。筆者が書くくらいですので、構造設計的なことは全く問題なく実現可能です。ミサイル部隊や戦車部隊などの陸上自衛隊の装備まで応用利用が可能なのです。これらも早期警戒機との組み合わせで射程が広がり有効に運用出来る可能性があるのです。

 正確な離着陸に必要な数字は軍事機密で公表されていないのですが、調べたところでは1.6kmの滑走路の長さがあれば早期警戒機から大型爆撃機だけでなく、空中給油機と輸送機まで運用出来るようになります。ここには小型の港湾施設も持たせられますから、非常に効率よく機能する海上空港基地になるでしょう。そしてゆっくりですが、移動まで出来るのです。

 空母と比較したデメリットは移動速度が遅くなることです。これは状況次第ですが、湾岸戦争もイラク戦争も移動には十分な時間がありましたので、大きな問題はないと思います。移動速度という機動力が必要な場合は既存の強襲揚陸艦という少し小型で部隊の上陸能力のある軽空母で対処出来ると思います。
 メガフロート空母は沈まないことに加えて今の空母には不可能な大型爆撃機も運用出来る設計まで出来るのです。滑走路を3kmまで延ばせば、大型旅客機まで含め一通りの航空機が運用出来るのです。

 この新空港を移動可能なメガフロート式に作り上げることには、大きなメリットがあるのです。米軍には今後の設計と運用のノウハウが渡るので彼らは喜ぶでしょう。平和を願う筆者にしては不思議な行為に思われるかも知れませんが、たくさんの人が一時に亡くなるシステムが対策されないことには、核戦争へのリスクが高まってしまうのです。

 この技術を利用すれば海岸の自然破壊は大きく減らせますし、米軍の運用終了後は自衛隊も使えます。311などの様に自然災害などの被害の出た時にはこのメガフロート空母を移動し、現地の救済に役立てることも出来るのです。
 アメリカの戦争やりたい派の人々は、メガフロートよりも中古の大型空母を日本に売ってお金儲けを望む可能性が高いと思います。戦争反対派で真に国益を考えている方にはメガフロート空母のメリットが理解されて、この計画への変更が容認となる発言につながるのではないかと思っています。

 軍人は元々保守的な物なので、新しい兵器の能力の評価や利用などには一定の抵抗がある物です。米軍でもこの種の兵器の机上演習をすればその戦力と費用対効果のメリットは速やかに理解されると思いますが、そこに至るまでには先ほど説明した様々な利害の絡んだ政治プロセスがあります。すぐには思うような返事が得られないかも知れませんが、日本としての尖閣有事への応用は考慮すべき重要な内容であると思います。

 中国の立場で見ると、始めて作った空母遼寧には艦載機をほとんど載せることが出来ず、エンジン性能が足りない様子で速度が出ない分発着艦に問題を抱えているようです。それでもこれからあと2隻は空母を作るとのことですので、並々ならぬ力の入れようです。
 メガフロート技術は日本の政策技術ですが、これを中国が利用したらどうなるでしょうか。700mの滑走路の移動式メガフロート空母にすれば、今抱える問題は一通りなくなり南シナ海でも東シナ海でも運用が可能になるのです。こうした事態は避けられないかも知れませんが、私たちは無策で良いのでしょうか。

 辺野古の空港を移動式のメガフロート空母として作成する場合、メガフロート空港へは大型の橋か海底トンネルの先に小型人口島を作り、そこにつないで車による補給を行う事になると思います。まずは試験運用が重要になるので、しばらくの間は基礎的な強度テストになり、その後外洋に運んで運用上の様々なテストに使われると思います。

 実際には800mの物を二つ作り、単独と連結の双方の運用を試すことになるはずで、その運用方法は貴重なノウハウの蓄積になるでしょう。
 辺野古の本来の使い方は移動をしない物ですが、汎用性を試験するために普段辺野古か別の場所の陸上補給場所に存在する時間の方が短くなるかもしれません。

 アメリカの戦略には、アウトレンジ戦法という物があり、戦いは相手の攻撃の射程外からの攻撃から始まります。日中の戦争に参戦する場合、沖縄米軍基地は辺野古も含めて中国のミサイルの射程の中にあるので、戦いの始めは米軍不在が本来の姿です。その証拠に嘉手納の基地などは、戦闘機が防御壁に守られる構造にはなっていないのです。もちろん辺野古も同じになると思います。

 ミサイルを受けないですむように、潜水艦と大型爆撃機の巡航ミサイルで中国の関連施設を破壊した後でなければ、如何に米軍といえども日本に簡単には近づけないのです。日本人で元アメリカ陸軍大尉だった方が、私たちへの警告のために本を書いて紹介されているほどですし、アウトレンジ作戦は旧日本軍も採用したことのある戦法です。
 当時の日本軍はその作戦の不利さを理解せずに実行して大損害を出しましたが、米軍は状況を理解し損害を出さないためにこの作戦を行うのです。

 この中にあって中国軍は開戦劈頭に尖閣列島と先島列島へと殺到してきます。私たちは米軍抜きでこれに対処出来なければ、自国を守れないのが現実的情勢なのです。
 島嶼防衛作戦などは元々成り立つ要素はなく、始めから自衛隊の防衛力を配備する島嶼の防衛作戦でなければいけないとご理解頂けると思います。

 あと、この中にあってメガフロートの空母を使う場合、これを移動させながら運用するので、イージスの護衛と潜水艦の護衛も付けば多少のミサイルと魚雷を食らっても運用に問題は出にくいでしょう。ミサイルとヘリの運用機能は最後まで残ります。
 こちらは出てくる敵艦船を各島嶼とメガフロートからミサイルで攻撃して尖閣と先島列島に近寄らせなければ良いので、人命損耗のリスクが低いだけでなく侵攻してくる敵戦力への対処も可能でしょう。

 現在の防衛力は消耗品や人員的にも十分でないところは多々あるのですが、これらも含めて現在の間違ったシビリアンコントロールによる防衛政策を根本から修正してゆく事になるでしょう。
 あと、尖閣列島における中国との紛争では、紛争が戦争にエスカレートした場合の核戦争へのリスクと、どの様に核攻撃を抑止するかが議論されています。

 現状では巡航ミサイルを大量に揃えることと、気化爆弾に加えて魚雷や対艦、対空ミサイルを搬送出来る巡航ミサイルを開発して運用する事で、十分な対処が可能と考えています。日本の高い技術力で可能な事を調べてありますが、まずは米国からの巡航ミサイルの購入の方が望ましいと思われます。核を使わなくても必要な打撃を与えることは十分に可能と考えています。

 相手の軍事インフラと命令中枢に打撃を加えることが可能であれば、核兵器は必要ないでしょう。上記リモート制御可能な多機能巡航ミサイルの運用は一般の方の想像以上と思います。例えば有人の戦闘機とリンクが取れる様にして混合で運用し、巡航ミサイル側にレーダー波の反射器をつけて戦闘機のダミーになる状態をリモートで出せるようにすると、敵は混乱します。

 相手のステルスに向けた複数のダミーの運用は彼らの位置を明らかにさせる有効な道具になるのです。巡航ミサイル側にはたいした機動能力は不要であり、有人戦闘機側がこれを上手く利用するのです。
 今の無人機には有人機との戦闘は無理です。今可能な機能でも有人機の周りに無人機を並べて運用すると、ミサイルとして相手を攻撃する能力が向上するのみならず、今までにない柔軟な戦闘が可能になるのです。もちろん人員の損耗リスクも大きく低下します。

 今の防衛力の観点から言えば、重要なことは自国の防衛行動として相手国のミサイル攻撃基地や命令中枢などを破壊出来るように能力と法律を整備することです。これが現実の機能する専守防衛なのです。
 ニュークリアシェアリングという核爆弾を米軍から借りるのも一策ですが、脅しがメインの核兵器は準備しなくてもがんばれると出来たら信じて下さい。私たちが世界の未来のためにも、核を使わずに平和を達成することに大きな意味があるのです。この記事の4)項を参照下さい。国民の意思次第です。

 私たちは自国の防衛に、もっと意識を向けないといけないのです。中国擁立派は自衛隊が戦争で動けなくなるように法律の縛りを強めていますし、対米従属派の中の戦争やりたい派はこれに乗じて尖閣と先島までを中国にまず占領させようとしている様です。
 大きな人的被害の出る島嶼奪還作戦などよりも、すぐにでも自衛隊を配備して防衛する方が圧倒的に被害も少ないし、米軍空母を被害に巻き込む事もないのです。
 日本の国土は私たち日本人が守る必要があるのです。利益を求める権力者が国益を外部へ売り渡す中にあって、国民が自衛隊を守り支えなければ、自国の領土と安全を守れないのです。

2)原発再稼働の再検討の必要性について

 前節が長くなりましたが、続いて2点ほど原子力の関係について触れておきたいと思います。
 一つは原発事故報告書に書かれている明らかな嘘のことと、放射能の被害における新たな原因の判明です。
 東京電力福島第一原子力発電所の事故では、事故の大きな原因は予想外の津波のせいにされています。津波が被害を広げた現実は間違いありませんが、地震により配管が損傷しメルトダウンに至ったことと、放射能の漏れ出す過程で中性子が大量に漏れ出しており明らかに再臨界が起きていたことを隠しています。

 配管の損傷は東京電力が民主党の国会議員に事故現場を見せられないほどです。国会議員でも見せてもらえないとはものすごい政治力ですが、現実です。国会の事故調査会の報告書には配管の水漏れが指摘されていますが、現場を見せてもらえないのです。結局その結果をうやむやにしてしまっています。
 作業員の証言などでは配管からのシューシュー音と放射能の上昇など明らかな漏れを感じさせるのですが、この調査を多くの関係者が妨害していたのです。

 再臨界については原子核物理を知らないことにして、正門で検出された中性子を無視しています。報告書を出している国会も政府も東電も原子力学会も同様でした。
 これは基本設計の重大ミスなので今後の原発再稼働に大きく影響する物なのです。これまでに明らかになっているデーターからすれば、原子炉が空焚きになり冷却水がなくなったところで中性子が計測されているのです。

 放射性ガスの接近を伴わない大量の中性子の計測は、炉内で再臨界が起きた事を明らかにしています。これも中性子発生の核反応として否定の出来ない物理現象です。冷却水は通常中性子を止めるバリアの役割を果たしています。このバリアがなくなれば、中性子は原子炉から飛び出すことがより簡単に可能になるのです。

 現在の原子炉は、中性子の減速材である水が炉からなくなる事態を考慮していないのです。この種の事故時の故障耐性が全くないのです。その結果事故が起きて水がなくなると炉心が溶融している場合は一般に再臨界を伴っており、中性子が大量に発生して人は防御服を着ても近づけない可能性が高くなるのです。
 この重大な事実は事故で明らかになった現実であり、事故時に強制的、連続的に水を流し込めない欠陥設計が故障耐性のなさとして、最も遮蔽しにくい種類でリスクも高い放射能である中性子をまき散らす現実に現れているのです。

 福島の事故の時には、この中性子を計測する余裕がなく、多くの作業員の方々は自分が中性子に被爆しているという意識はなかったでしょう。彼らのおかげで被害を小さく出来たことは本当にありがたいのですが、彼らの健康被害という代償を伴う物でした。
 次に類似の事故が起きた場合、再臨界による中性子の存在は現場の回復作業を不可能にする可能性が高いでしょう。事故時に中性子を計測させないという運用は人命無視の非人道的行為ですので、事故時に運用が不可能になるという設計上の重大欠陥を明らかにしておきたいと思います。

 関連して考えると、設計ミスと言うよりも昔は今よりも技術力が低かったので、40年前の耐震設計では今の現実に合わなくなっているのです。
 耐震基準が600ガルである事に明確な根拠など今は誰にも説明出来ないでしょう。原子炉を動かせないとなると大きな経済的な損失になるので、誰もこの問題に触れたくないのです。

 311の地震は大きな揺れが10分も続くという、耐震基準からすれば約3倍もの長さだと思います。この10分という数値で計算すれば、耐震基準を守れないのではないかと思います。この点も明らかではありません。
 実際に起きるであろう東海、東南海、南海、日向灘の地震では、これらが311の様に4連動すると地震は10分以上になると思います。

 この意味で伊予も川内も浜岡原発も予想を超えてハイリスクなのです。多くの人はこの期に及んで想定外という言葉の繰り返しを聞きたくないでしょう。既に予想出来ているのです。もちろん断層が近くにある柏崎刈羽や若狭湾周辺の原発も、岩手宮城内陸地震で起きギネス記録を作った4000ガル(加速度の単位)の見地からは規制の7倍もの地震振動が起きる現実があるのであり、今の規制が現実にそぐわないほど甘いのは同様なのです。

 プレート型ではないのですが、参考になる上記の東南海エリアの内陸地震では強い揺れが潮岬で3分間続きました。少し離れると揺れる時間は長くなりますし、連動すればさらに大きく長くなるでしょう。6分とかは想定の範囲に入らないといけないのです。もちろん歴史に見るこのエリアの地震には秒や分の単位のない時代に、その長さを記録として残そうと工夫している物が多いのです。恐らく10分でさえ普通でしょう。
 繰り返しますが加えて岩手・宮城内陸地震では4000ガルの地震が起き、規制の何倍もの大きさです。これもクリアしないといつ配管故障を起こすか分からないのです。津波対策も重要ですが、現状にあった耐震対策も同様に必要不可欠です。

 次の原発事故時は、311よりもさらに広範囲に大量に放射能をまき散らす可能性もあるのです。福島第一原子力発電所の2号炉が3月15日の朝に爆発と思われる異音を発して以降、高い放射能が検出されています。この時原子炉の下部で地下にあるサプレッションチャンバーと呼ばれるところが内部の爆発で損傷し、大量の放射能が漏れ出したと考えられるのです。
 元々この部分が地震などにも弱いことは指摘されており、新しい設計からはこの構造は使われなくなっています。

 この日の朝6時頃ですが、2号炉の地下から異音が発生したところまでは、多くの事故報告書に書かれています。でもその原因は解明されていませんでした。4号炉の外壁が同時に崩れており、こちらを原因にされているところがあるのです。どちらが早いかが明確でなく分からないのです。
 ただ、この異音の直後から大量の放射能漏れが始まったことは現実であり、2号炉の地下の汚染が最も激しいことから、この場所に何らかの爆発があった物と思われます。

 考えられる状況は、メルトダウンして溶け出した液体金属状の核燃料が、原子力圧力容器の底に熱により穴を開けて漏れ出し、その下の格納容器に溜まっていた冷却水に触れて水蒸気爆発を起こしたという物です。液体金属の熱で大量の水蒸気が爆弾の様に発生したのです。実際に爆発力もあるので、高い圧力の発生と相まってサプレッションチャンバーの継ぎ目という弱いところを破損した物と思われます。

 その結果核燃料を含んだ爆風が地下へ漏れ出すことになり、地上へもある程度出ていますが、このそれぞれをこの原発事故の中では最も大量に放射能汚染したのでした。その為にこの異音の発生の後に多くの作業員の方が、福島第一より避難することを余儀なくされたのでした。

 この原子炉は古い形式で、たまたま地下に弱い部分があってその部分が損傷したために、爆発が空に向かったチェルノブイリとは異なり地下に向かって爆発したのです。その結果外部への放射能漏れ出しが偶然にも低く抑えられたという現実があるのです。
 今再稼働を検討している原子炉は同じ形式ではなくより新しい物であり、この種の弱点は解決されていますが、一機の持つ核燃料の量は大きく増えています。

 もしここに同じ種類の爆発事故を起こせば、恐らく配管から放射能が大量に漏れ出し、地下ではなく空に向かう可能性が低くないのです。こうなると実際に大量の汚染を周辺にまき散らす事になるでしょう。漏れ出す位置だけでなく元々存在する核燃料の多さまで影響してしまうのです。
 その結果は福島よりも大量の放射能の漏れ出しとより広範囲への拡散です。

 活断層の存在を無視しようとしたり、御嶽山の噴火から明らかになったように、近傍の火山の噴火の予知など出来ないのに出来ることにしたり、行政の対応は国民の基本的な生存権さえも無視し経済一辺倒なのです。
 無理して原発を動かせば、311以上の被害に可能性があるのが今後の南海トラフの地震なのです。被害に正面から向き合わなければ、さらにい広いエリアに放射能の被害が及びかねないのです。

 さてその放射能被害ですが、高校レベルの物理が健康被害の広がりに隠されている大きな理由を教えてくれました。
 放射能はキューリー夫人が発見した時代からの物ですが、科学者は放射性物質から出てくる放射線にのみ大きな関心を抱いてきたので、放射能を発生する放射性物質側の挙動には注意を払ってこなかったのです。この事が原因で現在の健康被害を広げているのです。

 物理の法則は、物体が力をもらって運動する時に、その反作用を相手に及ぼすことを明らかにしています。作用反作用の法則で高校物理レベルの現実です。
 この法則を放射性セシウムと劣化ウランに対応します。放射性のセシウムは内部の中性子が陽子と電子に崩壊し、電子を放出するのはこれまでの物理です。新たな物理には陽子側にも電子と反対向きの力の反動を加えないといけません。映画で見るように銃で弾を撃つと反動があります。この原理と同様に電子という弾を撃てば、その反動が陽子に加わり、その結果その陽子を含む放射性セシウムを高速に動かすのです。

 大学生には計算出来るレベルの問題です。筆者としては約30年ぶりにこの種の計算をしました。あまりにも久しぶりで単位系の換算が間違っているかも知れませんので、ミスがあればご指摘下さい。修正致します。少なくともそれなりに大きなエネルギーが放射性物質側に渡っていることに間違いはありませんので、その点はご安心下さい。
 以下放射性セシウムの計算です。661KeVのガンマー線放射時に、反動として1.5km/秒、512KeVのベーター線放射時に、反動として1.2km/秒でした。秒速1kmありますからものすごい早さです。

 癌治療に重粒子線治療という物があり、原子量の少し大きな炭素C12を使っています。この普通の放射線よりも少し重い原子で癌組織を破壊するのです。
 これと比較すると放射性セシウムはCs137の原子量があり、10倍以上の重さがある物が体内で動くのです。近傍の組織を大きく破損することは間違いないのです。
 エネルギーの配分で言えば電子側に渡るエネルギーと似たレベルが放射性セシウムにも渡されるのです。運動量が等しいという言い方ですが、これまでの評価では電子に渡される側のみが評価されて、残り半分の放射性セシウム側が評価されてこなかったのです。

 マウスにおいてはセシウムが甲状腺に蓄積するという実験結果が出ています。生体反応を類推すれば人の場合もセシウムが甲状腺に蓄積するのであり、ここに蓄積した放射性セシウムは甲状腺にポリープや癌を引き起こすのです。現在福島の子供達に出てきている甲状腺異常の原因はここにあるのです。事故直後の放射性ヨウ素の影響のみならず、住環境からの放射性セシウムの蓄積の影響も無視出来ない大きな物なのです。

 放射性セシウムは科学的には塩の構成元素であるナトリウムに似た動きをします。血液に溶けて体を流れて周り、その蓄積を通して血管や心肺機能系、血管の密集している腎臓や脳にまで被害を及ぼしているのが実態なのです。これまでに様々に言われてきた原因不明の疲労感であり、健康の悪化なのです。
 過去の放射能被害では、放射能が一部組織に集中する理由が明確でなかったために、多くの症例が放射能との関係を無視され、正しく研究評価されることなく来てしまったのでした。

 ある漫画に書かれた鼻血は呼吸による放射性セシウムの通り道であり、呼吸に関連する生体組織では最も毛細血管劣化との相関が明確なのです。鼻は元々肺に入る前の空気のチリゴミを取り除く働きもあります。吸い込んだ空気に存在する放射性セシウム入りのチリゴミがここで濃し取られる時に鼻の粘膜へと影響が及んでいると思います。
 書かれた鼻血はこの種の被害の影響である可能性が高く、私たちは医学として様々なこの種の健康被害の状況に正面から向き合わないといけないのです。

 また、私たちの食べている食材中の放射性セシウムにも、もっとリスク意識を向ける必要があるはずです。この意味でも福島の放射性がれきを日本の各地で保存するのは環境の汚染でしかないのです。医学的にも日本各地に放射能の影響を受ける人々が十数年後から明確になる種類の物になります。がれきは狭いエリアに纏める方が被害を減らせます。放射性ゴミの処分方法については説明が複雑になるので本に書きます。

 これまでにも放射性セシウムの健康被害を扱う資料はそれなりに存在しているのですが、原子力産業への影響を恐れて被害の実態が隠されてきている様です。低レベルの放射線は体に良いか悪いか分からないという議論がまかり通り、現実が分かりにくくされてきています。
 これは福島の子供達に見るように、健康被害を及ぼしていることがもう明らかです。放射能被害への国の対策は見直す必要があるでしょう。

 放射線発生時の反動の存在は物理では誰にも否定出来ない物であり、これまでに隠されてきた放射性セシウムの健康被害と劣化ウランによる健康被害の大きな原因である事が明らかなのです。劣化ウランもアルファー線を出す時に自身が反動を受けて動くのです。U238ですからこの重さは放射性セシウム以上であり、大きく生体組織を損傷するでしょう。近傍で生体を破壊するアルファー線と二重の効果で近傍の生体組織に強く影響するのです。

 劣化ウラン弾は発射時にその一部が蒸気化して兵士の体に入り込み健康被害につながります。打たれた側でも劣化ウランの蒸気が影響しますし、環境に残された劣化ウランは酸化してぼろぼろになる過程で多くの微粒子を飛び散らせて大きく環境を汚染するのです。
 これまでは劣化ウランと健康被害の直接的関係は無視されてきましたが、今後は大きく変化し使われなくなる非人道的兵器だと思います。

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