選挙とイランの核問題       11月19日

 日銀の追加緩和が起きた時点で、衆議院選挙は来年の4月に延ばす物と思っていましたが、消費税上げを見送って先に選挙に挑むとは予想出来ませんでした。
 現状では与党議員の数が減るとも言われていますし、この先株価と円のレートが思惑を越えて動くことはないと判断しているのでしょう。

 株価も円のレートも維持する事が必要ですが、選挙に向けて残り1ヶ月を持たせるのは、資金上問題ないと判断したのでしょう。大きなイベントが起きないという予想がどうして出来るのかは不明ですが、日銀のお札を使う以上は大抵のことには対処可能と判断しているのでしょう。
 アベノミクスがおかしくなっているという話をしても、株価と円レートが維持されている以上、現実の状況の前には実体経済の痛みなどは目に付かなくできるのでしょう。

 野党側はみんなの党が解党になるなど混乱していますし、不意打ちで選挙の準備も十分には出来ていない状況です。
 アベノミクスがこの先もずっと維持出来るという根拠はない状況にあり、金融緩和を止める出口戦略も全く立たない中での国民の審判になるのです。今国民に提示出来る野党の選択肢も満足に出ない中での選挙です。

 選択肢がない中で、マスコミはアベノミクスをまだうまく行っている物として演出するので、今回の選挙で自民が過半数を切るところまで追い込まれる状況は起きないように感じています。
 本来向き合うべき出口戦略から生まれる混乱を先送りした上で、新たな4年の任期の中で今度は逃げられないその問題と向き合うことになるのです。大きく評判を下げるにしても、国民がアベノミクスを選んだとして、そのままやりたいことを進めるのでしょう。

 現在の国際情勢を見る中で、11月24日までにイランの核問題に解決が出されるという流れがあります。イランをアメリカが許すことになれば、本来は世界が平和になる所です。
 残念な現実はアメリカ共和党が中間選挙に勝ったこともあり、彼らの望む政策がオバマ大統領の意志を越えて働くことになります。今心配になるのは平和に対抗して引き起こされるテロになります。

 ISISが主導した事とするテロの演出には準備が整っていると思います。まだISISは大きく弱体せずに残っており、次の大統領の戦争政策に向けての準備としては、まずは最初のチャンスでしょう。
 何が起きるか分かりませんが、政策を無理矢理転換させる良いチャンスでしょう。イランの核が許されると困るのは、アメリカ共和党だけでなくイスラエルなどの右派の人々になります。

 この種のチャンスが選挙の投票日前に巡ってくると、タカ派の自民には有利に運ぶでしょう。実際の所は分からないのですが、政治的には今から仕込んでおけば次の大統領での戦争にプラスに働くのは間違いありません。
 今回の選挙の選択には、単純にアベノミクスと消費税上げだけではない何かの理由があるように思えてなりません。与党議員を減らしてこの先を乗り切るにしても、悪材料が目白押しです。何かまだ隠されている狙いがあるのではないかと思える状況です。

 中国も北朝鮮もおとなしくしている流れが表面には出ていますが、こちらも先送りされているだけであり、中国との先日の合意文書には日英と中国語分で意味に差が取れるように書かれていると言うことです。
 こういった事は外交上は良くあることだと思いますが、後から問題を蒸し返す準備がしてあるだけで、お互いの現状を有利に運ぶだけの物にしか見えないのです。

 中国側の事情はまだよく分からないのですが、いずれ情報が流れてくると思いますので、改めて書きたいと思います。北朝鮮がミサイルを発射するかも中国次第なのです。中国の経済の悪化が激しいので、しばらく内政に向き合うのかも知れません。
 今回の選挙については、投票日までに様々なイベントが引き起こされる予定があるのかもしれません。政治に騙されるのが選挙であると、覚えるまで何度も繰り返すのかも知れません。

 地震の状況ですが、大きな動きはなく次の新月を迎えることになりそうです。この前後にもう一度注意が必要になります。22~24日の間です。大きくてもM6位の状況も変わりありません。
 南海側はもう動かないかと思っていましたが、潮岬の緊張はなぜかまだ残ったままなので、このエリアと北海道南方、東北東方沖には注意が必要です。

 東北の分は南側でのM4クラスの調整が続いており、こちらも大きな物にはならないと思います。ただ、北海道南方、青森東方にはまだ緊張が残っていますので、この分には注意が必要に感じています。
 火山の活性化している東北の内陸部にも多少のリスクがあるかもしれませんが、こちらの予想は現状ではまだ難しく参考程度の情報です。

 御嶽山の噴火後に活性化した物として、阿蘇山の北側の久住山があります。地下の温度が上昇しているレベルですが、近傍での弱い地震が増えており注意が必要です。御嶽山の西側で中央構造線に関連する地震が起きているので、噴火の影響が構造線を通じて伝わっているのでしょう。
 ここしばらくの伊予灘の地震、淡路島関連の地震はこの影響ですし、上記南海・東南海の地震も同様です。奄美大島北西沖の影響も含めてしばらく変化の様子を見守る必要がある状況です。

稲生雅之