しばらく前に中国の理財商品のデフォルトを予想していましたが、このデフォルトは起きる事なく世界の経済に混乱が起きました。結果としてはQEの縮小による新興国の信用不安です。
こちらのグラフ解析では、1月の経済とシャドウバンクの落ち込みと2月の危機とデフレの進行までを見ていました。中国人民銀行の理財商品の問題を解決したいとする強い姿勢がこの状況を生み出すと解釈していましたが、ここは私の間違いでした。
中国の経済の指標の一つが悪化したことが伝わり、その影響だけとは言い切れないのですが、世界的な株価の低落を招きました。これを見た中国の政策当局が理財商品のデフォルトを今進めることは市場から責任を問われることになりまずいと判断したのでしょう。
現在の中国でデフレがどの程度進行しているのか分かりませんが、理財商品の取り扱いに必要な資金の供給は十分ではないはずです。市場も当局も難しい状況に直面していると思います。米国のリーマンショックの時と同じように、効果的な手立てを行う事なく時間が過ぎてゆくのではないかと思います。
現在少し長期にわたる解析に着手しており、一部解析結果が公表できるところまで進みました。現状では、日本、米国、EU、中国の4つの地区において、それぞれ2つずつのグラフを解析して内容の評価を進めています。
この先ロシアと中東を加えてゆく所です。今月一杯で何とかそこまで進めると思っています。もう少し新興国を加えるなど検討しますが、完了した8種類のグラフのデーターは重なる未来を教えてくれています。
その未来ですが、2月にはバブルが強調されています。世界的に落ち込んだ株価も、米国の新しいFRB議長のイエレン氏の議会での証言により、持ち直しを見せています。
もともとQEの縮小開始により市場への資金供給が細るので、新興国に問題が起きて株価が下がることは経験則にまでなっていました。今回もその様に市場は動いたわけですが、その動きをイエレン氏が議会証言により調整しているところです。
米国市場は景気の回復を示す指標と、うまくいっていないことを示す指標が両方とも出ており、判断が難しくなっているところと思えます。この状況でイエレン氏が大丈夫と言えば、市場も安心するという所でしょう。実際には雇用情勢にも景気の回復にもプラスマイナスが相半ばしているところなので、プラスに振れるように市場にメッセージを流している感じです。
QEによる資金供給により歪んだ市場を直すことが優先している部分もあるのでしょう。新興国市場は自分たちで問題を解決する必要があることは現実ですし、米国の資金が雇用と景気の回復に向かわないでバブル化する部分は止めてゆく必要があるのでしょう。
イエレン氏は市場の状況に合わせて柔軟に対処し、バーナンキ議長の姿勢を当面保持する事になるのでしょう。
3月になると、今度はグラフの株がピークを迎えます。今バブルで戻っている株価が3月のあるところまでは上昇することになるのでしょう。もちろん上げ下げを繰り返すのですが、2月27日がリミットと言われる米国の債務上限の問題がそこそこに折り合いが付いて解決し、その後の株価をまた、支えることになるのかも知れません。
米国下院は債務上限をあげることに同意し、残るは上院になったと聞いています。今年11月の中間選挙に備えて国民に迷惑をかける政策をとれないらしく、27日を待たずに今回は解決しそうな雰囲気です。
何度かピンチの演出がされるかも知れませんが、株価を上下する操作のようなものでしょう。
この辺りまでは現状の分析からも予想できるのですが、グラフは3月に紛争のピークを持ってきています。実際に何が起きるのかは分からないのですが、この株価を押し下げてゆく事になるかも知れないと思っています。
地区別に見ると、単に紛争が高いだけではなく、それぞれに特徴が出ています。
日本では紛争だけでなく戦争のピークも重なります。米国ではテロになり、中国では分裂になるのです。EUでは紛争ですが、ロシアや中東についても分析が必要です。もうしばらく時間がかかりそうです。
イランが核問題で妥協を重ねており、米国の資金凍結が解除になったり、IAEAの査察を認めるなど平和的な動きも多くあります。この為にイスラエルやサウジアラビアが困っているのですが、この影響を見る必要があると思っています。テロや紛争の種になっているのかも知れません。
日中の問題に注目すると、中国ではシャドウバンクの問題が先送りになり、経済には問題を抱えたままです。今年の経済成長も厳しくなっているはずです。この中にあって日本やフィリピン、ベトナムとの紛争は、国民の不満のはけ口としての利用が追求されることでしょう。日本は安倍氏の望む戦争への道が開けてゆくという流れになると思います。
ただ、中国には分裂の芽の方が少し強く出ているので、どちらになるのかは分からないままです。
4月には消費税によるアベノミクスの落ち込みが既に公表済みの予想ですが、このまま単純に落ち込むのではなく、テロや紛争などにより何らかの演出を加えようとしているようです。本来の市場の変化に言い訳をして、国民には仕方がなかったという思いを抱かせるのでしょう。厳しくなる5月を凌ぐために変化を起こし、戦争へと流れるようにするか、それとも中国の分裂の芽が明らかになって来るのかも知れません。
今回何も起きなくても、グラフに見る未来には同じ事を数ヶ月後に繰り返すという流れを持っています。シャドウバンクの問題を大きくして、国民を紛争に持ち込むなどこれからも画策されることと思います。戦争への流れには順番があるようで、スタートを紛争から始めることがその流れを作り出しやすいようです。
残念ですが、都知事選挙では舛添氏が勝つことになり、脱原発新党は立ち上がりませんでした。安倍氏が負けていれば3月の紛争も戦争にはつながりにくいと思っていましたが、現状では中国の状況に大きく左右されると見ています。
安倍氏と原子力村の力がマスコミを動かして、この結果だと思います。安倍氏を追い込む話にはまだ続きがあると思っています。原子力村も含めた対処を米国側は考えている様です。
稲生雅之
2/13追記
今日になって、早くも米国上院が債務上限問題を回避したという良いニュースが流れました。オバマ大統領のサインを待つだけになったようです。
もう一つ理財商品のデフォルトの可能性を伝えるニュースも届きました。今回の物は前回の物とは異なる商品を中国建設銀行が販売した物で、2月7日の償還期限を過ぎてもまだ、未払いのままとのことです。
前回の物は、「中国当局の指示とみられる正体不明の投資家が現れて元本が保証された。」とされています。今回の物がどの様に扱われるのかまだ様子を見る必要があり、デフォルトが確定したわけではなさそうです。
この対応には、西側の金融の概念からは疑問符が付きます。単に大きな国際問題になるから始めの問題を回避し、理財商品の持ち手を安心させながら、一方では少額のデフォルトをあえて起こすことで市場に警告を発しているつもりなのです。中央銀行に対する信頼という物を政府の強権で守れなくなるときが、一歩近づいたようです。
この先の展開に注意が必要ですが、中国のシャドウバンクの危機は間違いなく進行しているようです。