都知事選挙と政局について      2月3日

 与党自民党の押す舛添要一氏と、元首相小泉氏の押す細川護煕氏の争いになっている様に見える東京都知事の選挙ですが、2月9日の投票日まで残り少なくなってきました。
 始めは細川氏が出ると反原発の流れが起きて、細川氏が当選するという話が流れていましたが、現状は舛添氏の優勢が伝えられています。

 細川氏は立候補者の討論会をすっぽかした為に、マスメディアの受けが良くないことになっています。実際に正式表明に手間取った分が日程的な遅れとなり、舛添氏の後塵を拝している所でしょう。
 どこまで計算してこの状況を作り出していたのかは分からないのですが、この時点で何らかの内部の混乱があったことは間違いなさそうです。選挙スタッフの入れ替わりなどがこの現実を表すのでしょう。

 何が起きたのかは分かりませんが、現時点ではその出遅れた分を取り返しつつあるように見えています。
 本日の大手新聞のHPには舛添氏がリードと出されていましたが、支持率の情報はなく、実際にはどうなっているのか分からなくされていました。

 現状は、マスコミによる小泉、細川陣営の足引き戦略による低支持率だと見えています。2020年の東京オリンピックの利権を握った自民党に逆らえないので、自民党の推す舛添氏にプラスになるように報道を統制していると週刊誌には書かれています。
 マスコミによる公平無私な報道は、まだまだ遠い世界の事の様です。

 立候補当初は細川氏の何十年も前の1億円の借り入れの話が出てきていました。彼を批判するなら舛添氏にも様々な問題があり、責任のある立場をまかせるのは問題があるのではないかと思います。都知事選挙に出るほどの人が、重度の障害を負う子供の養育費を巡って裁判を係争中であることが週刊誌にしか載らないのです。自分の年収を低く見せての減額を要求する裁判ですから、一般市民の目には奇異にしか映らないでしょう。

 自民党がなぜ彼を立候補者に選んだのか、こちらではよく分からないのです。ネガティブキャンペーンを受けると格好の餌食であり、この種の話は思うよりもじわじわと進んでいる物と思います。話を聞けば、間違いなく女性票から離れてゆく事でしょう。
 他に適切な人がいなかったのか、それとも始めから自民党には勝ち目がなくて、誰もなり手がいなかったのか、疑わしく思えてしまいます。

 小泉氏は選挙にあたり、自分たちの戦いを桶狭間の戦いになぞらえているらしいです。強大な敵に奇襲をかけて成功するという話であり、この成功により織田信長のその後の伸張が始まったのでした。
 今回彼が自分の状況を桶狭間にする以上は、秘策と言うよりは、ほぼ間違いなく自民党に逆転できるだけの準備をしているのでしょう。

 そのストーリーとして、脱原発の勢力をこれから結集するための新党の立ち上げという物があります。小泉親子と細川氏とで新党を立ち上げて、小泉純一郎氏が脱原発を進めるエネルギー戦略会議の議長になるという話です。利権を握ると言うことでしょう。
 都知事選の終盤に際して、小泉進次郎氏が自民党を離党し、脱原発の新党を立ち上げてその党首になるという演出です。

 このニュースは都知事選挙には表面上関係ないので、マスコミ各社も報道せざるを得ないでしょう。むしろ自民党の今までのやり方に反発する形で、この報道が熱を帯びるのではないかとさえ思います。少なくともきちんと報道されて、都民も脱原発の動きが全国に広がることを感じるのでしょう。
 この新党は今後の地方の首長選挙に参入し、党勢を固めるべく動き始める計画とされています。政治家に勝ち馬に乗るチャンスをばらまくのです。

 小泉親子にこれだけの行動力・資金力があるのか、現政権に最後まで試される部分は残ると思います。選挙に出遅れた部分はその現れだと思いますが、日曜日には安倍総理も舛添氏の応援に出たとのことなので、実際には余裕で勝てる選挙でなくなっていることは間違いないと思います。

 恐らくですが、小泉氏が脱原発で新党を計画し、これから立ち上げてゆく事は自民も民主も皆承知しており、マスコミも分かっていることなのだと思います。都知事のなり手がいなかったことはこの状況を裏付けるのか、それとも人材不足なのかは分かりません。
 小泉氏に資金を回す勢力は、自民党ではうまく行かなくなる場合に備えて、新しい政治勢力の受け皿を作り上げようとしているようです。脱原発の利権を押さえるだけでなく以前の小泉路線、米国従属路線がまた静かに出されてくるのでしょう。

 解析で、2014年の都知事について調べてみました。流されている新党を条件にして舛添氏と細川氏を比較すると、細川氏の可能性が優勢になる状況でした。新党立ち上げが状況を逆転するのです。週刊誌に流布されているストーリには、一定の真実があるかもしれません。解析としては可能性を指摘していました。
 日本人の6割が脱原発に賛成していますから、普通に考えても新党が出来ると細川氏への票の流れが加速するでしょう。

 米国の安倍氏を押す勢力と、小泉氏を押す勢力の間に何があるのかは分かりません。安倍氏のカルトオブヤスクニを嫌う部分が今出てきていて、安倍氏を交代させるためなのかも知れません。
 沖縄の名護市と都知事選挙で与党の自民が負けると、これは責任問題になって安倍おろしが始まるのでしょう。新党立ち上げが延びて舛添氏が勝つ可能性もまだ残っていると思いますが、それでも安倍氏を追い込む政策は今後も続く事でしょう。

稲生雅之