今回はシェールガスとFLNGという天然ガスの新技術の動向をお伝えしようと思っていたのですが、見直しをしている未来で中国について気になるニュースとその解析結果が出てきました。
エネルギーの話は次週以降に回して、中国の理財商品に関連する金融政策の動向を見てみたいと思います。
中国がGDPで世界一になるという方向で未来を語る人は少なくなってきていると思います。出生率1.18からは人口の急激な減少が予想されるだけでなく、農村から都市に供給されてきた働き手も今は期待薄になり、経済成長が望みにくくなっています。
本屋さんに並ぶ本を見ても、以前と比較すると中国の未来を警告する本が増えて来ています。
2013年の6月、7月と中国の銀行間貸し出しのシステムに問題が生じ、金利が激しく上下した後は混乱が一段落していました。この時に語られた物が理財商品の問題です。
高金利で元本の保証のない金融商品が、企業やプロジェクトに資金繰りをするために作り出され販売されてきています。
もともとリーマンショック後に経済成長を継続するために財政資金を投入する為でした。その時地方政府に財政負担を求めたところからこの種の商品が増えています。
経済活動が活発で資金需要があった上での起債であれば、それなりの利益も載せた上での販売と償還は可能であったと思います。
これに対して現実は、リーマンショック後の経済刺激のための投資ですから、実需を伴っていた部分が少なかったのでしょう。土地バブルを一時的に膨らませることには成功しましたが、現状ではバブル後の苦しい資金繰りになっているようです。
中国の経済全般で見ても、これまでに公表されてきた統計が語るほどに経済がバラ色だったのか、これから在庫と設備の過剰問題として状況が明確になると思います。
今回気になったニュースは、中国工商銀行の販売した理財商品が初のデフォルトになるかも知れないという物です。約517億円分もあるとのことです。
この資金は非上場の石炭会社に貸し付けられたのですが、既に倒産して資産もほとんどなく、起債会社が全額を負担することが難しくなっているという話でした。
今までの理財商品はデフォルトしても、何らかの形で償還は受けられたとのことです。これが今回の物から償還の停止に踏み切る様なのです。この状況を公表することで、市場の反応を見ようとしている様です。
市場の健全化を促すためと称して行われる金融政策でしょう。はたしてうまく行くのか、また、実際にデフォルトを起こすのか調べている途中です。
中国の政権についての解析結果では、1月に経済とシャドウバンクが落ち込み、2月には危機とデフレが進行します。この意味はデフォルトを実施すると言うことになります。そして3月には一段落し、4月にまたデフレに戻る可能性があるようです。
3月には全人代という中国の国会の会期があるので、この時にこの政策の成果をアピールするのではないかと思います。
理財商品の問題のある部分をそぎ落としてゆくという政策を発動し、それなりに市場をコントロール出来ているとしたいのだと思います。
もともと理財商品は中央の押しつけた財政負担により発生している部分があるので、地方政府としてはその扱いに苦慮することになると思います。これに加えて一部の富裕層が利殖のために購入している物も多いはずです。こういった商品がいきなり元本無保証になると多くの人が困ると思います。
普通に考えると償還前にこの種の商品を売りたくなるはずです。販売元に買い戻しを求めるのが普通でしょう。
国民に責任を押しつける行為であれば、ここから新たな混乱が始まることになると思います。3月の全人代で結果をアピールできるのか、難しい部分が出てくるかも知れないと思います。
グラフの解析としては、2月の時点でうまく理財商品を減らすことに成功しても、他にもたくさんある理財商品にその処理がそのまま通用するのか疑問に感じる状況です。
グラフによれば、理財商品の危機がその後も何度か訪れることになる様です。この先の経済の落ち込みに応じてどんどん処理が難しくなって行くではないかと思います。
これはリーマンショックを見ている状況によく似ていると思います。始めは米国FRBも何とかなるとしていながら、非常に大きなサブプライムの問題に飲み込まれて行った状況です。最後は投資銀行の倒産にまで至りましたが、中国での状況はどうなるのでしょう。
少なくとも地方の利益と中央の利益が衝突し始めており、強権で中央の言うことを聞かせられるのか、問われることになると思います。その結果として地方政府の債券発行が増えることになるのです。資金を印刷して回す事になるのは中央政府でしょう。
グラフの長期的な傾向を見ると、デフレが目立つのは2014年と15年でした。来年にはこの問題の先送りは難しくなると言う事だと思います。
中国でも米国同様に何度か問題を繰り返して起こし、その都度市場の悪化する中で負債を膨らましてゆくという悪循環を起こす可能性は高いと思います。結局インフレになるのであり、グラフはこの傾向を示しています。
この先の中国政府の金融政策で大きく状況は変化すると思います。また、2014年の3月には中国での紛争やテロの可能性が高くなるので、この状況に応じて未来は変化する可能性が高いと思います。
中国の地方のグラフなどこれから解析をする予定です。時間がかかるので2月に入ってしまうと思いますが、こちらの結果も改めてご紹介したいと思います。
稲生雅之