日本国内ではタブー視されているのか、伝わらない種類の情報があります。中国では囚人から臓器が摘出され移植されているのですが、この関連の情報は多くの人にとっては全く知らされない種類の物でしょう。今まで正確な情報に接する事が出来なかったお話です。報道機関は中国政府の報復を恐れて報道できないレベルだったのでしょう。
危ないことをしていると聞いてはいましたが、今回この内容が本になって出版され、日本でもこの先少しずつ広まる気がしてきました。本の内容には驚かされると思います。
国家による臓器狩り 自由社
この本が出版されていることを知ったきっかけは以下のニュースです。
【大紀元日本1月8日】中国共産党規律検査委員会は12月20日、「610弁公室」の責任者、公安部副部長(次官)の李東生氏を調査していると発表し、5日後の25日、国営メディアはその全職務の解任を公布した。
同指導チームは事実上、法輪功迫害を発動した当時の江沢民元国家主席が直に設立した、憲法と法律の制約を受けない、迫害を実行するための違法組織である。1999年6月10日に発足したその直属機関は「中央610弁公室」と名づけられた。
単純に考えると江沢民氏が責任を負わなければいけない事件が立件される所に近づいていると言うことになると思います。江沢民氏の政治権力が落ち目であるにしても、他に大きな理由があると思います。
関連する記事を調べて納得できる状況を見つけました。少し長くなりますが、重要部分を載せたいと思います。
【大紀元日本12月15日】欧州議会は12日、中国で起きる強制的な人体臓器の奪取(臓器狩り問題)について、即刻止めるよう中国政府に求める決議を可決した。
会議はフランスのストラスブールで開かれた。決議案には「宗教・信条を理由に投獄された多数の法輪功学習者や少数民族を含む収監者から、中国政府の指示で組織的な人体の臓器奪取が行われていることについて、信頼できる報告書が継続的に出されていることに強い懸念を示す」と記された。
決議では、中国政府は次の要求と回答を求められている。
▼即刻の人体臓器の強制奪取を停止
▼国連の要望である拷問、信条の自由、臓器奪取の事実に関する特別官調査団の訪問の受け入れ
▼法輪功学習者を含む全ての良心の囚人の即時釈放
また、EUは「中国での非倫理的な臓器移植手術の実行に関わった人物の起訴」のために「完全で透明な調査」を行うとしている。
中国政府は死刑囚の臓器を移植用に摘出することについて、2015年までに段階的に廃止すると今年(2013年)8月発表しているが、欧州議会はこれを「受け入れられない」とし、即刻停止を要求している。
決議では欧州連合(EU)加盟国に、中国の非倫理的な臓器狩りに関して公に批判し、国民への周知を呼びかけた。出席議員は欧州議会議長に、同決議を欧州連合の関連機構、国連人権理事国および中国政府に送るよう求めた。
議会では法輪功の弾圧についても上げられた。出席議員は「中国共産党は1999年7月、心身修養法である法輪功の根絶のために集中的で全国的な迫害を開始した。これまでに何十万人もの法輪功学習者の逮捕 ・拘留を行った」と発言した。また強制的な臓器摘出はウイグル族、チベット族の収容者も対象となったとの調査もあるという。
真実は時間がかかるにしてもこれから明らかになると思いますが、この記事を見るだけでも中国が国家として死刑囚の臓器を移植用に摘出していたことは明らかです。明確でないのはどれだけの数の死刑囚が臓器を摘出されたかであり、どの様な人々がこの犠牲になっているかです。
本の帯にはこの様に書かれています。
医師等12人が綿密な調査に基づいて告発。無実の囚人6万5千人を臓器収奪のために殺害。臓器狩りの対象は監禁した法輪功学習者ら120万人。
書かれている数値を検証することは私たちには難しいのですが、議会などの権力機関が動くと真実が徐々に明らかになると思います。
臓器狩りには、心臓、肝臓、腎臓、角膜などが含まれており、医療関係者と死刑を実行する軍関係者に賄賂を送ることで、必要な移植を受けられた様です。
この仕組みには大きなお金が動いており、軍も政治も関連した大がかりな事件でしょう。江沢民氏につながる責任問題にまで発展すれば、大きな影響があると思います。
本を読むともう少し詳しい状況が見えてきます。法輪功関係者だけでなく、少数民族であるウイグル族やチベット族もその犠牲になっているようです。
中国では一般の人が亡くなっても、臓器を摘出することが慣習として出来ないらしく、臓器移植は囚人だよりであるとのことです。それでも政治的弾圧により多くの人が犠牲になるのは、人権を無視する行為でしょう。需要に合わせて死刑を実施しているのです。
あと、上記6万5千人は2000~2008年の数字です。現在はどの様な物なのか、その実体は分からないのです。
世界には臓器を摘出する犯罪ネットワークが存在します。政治的な混乱と極度の貧困がこれを可能にしており、世界の向き合うべき問題になっています。
この中で中国は独自の臓器移植を実施する国であり、権力者が死者の臓器をお金儲けに利用している部分があったのです。囚人から臓器を奪うことでさえも驚きなのに、これにお金儲けを組み合わせるのです。最終的には中国の元指導者である江沢民氏の責任が問われるのであれば、中国共産党の正当性は大きく揺らぐのではないかと思います。
実はこれまでにもこの事件につながる伏線があったのです。気がつきませんでしたが、無期懲役が確定した薄熙来元重慶市共産党委書記と元部下で亡命騒ぎを起こした王立軍はこの法輪功弾圧と囚人達からの臓器摘出に深く関与し、これをビジネスとして利用し実績を上げていたようです。
今回の報道では国家の元公安責任者の周永康氏がその責任を問われる状況に追い込まれており、610弁公室の責任者も調査されているのです。習近平氏が指導してこれを行っているのですが、どこまで本気で江沢民氏の犯罪的行為に迫ることが出来るのでしょうか。
欧州議会の圧力を捉えて、自分の政治権力闘争に利用しようとしてるようです。よほどうまくやらないと政治に混乱を招き共産党が自滅しかねないと思いますが、これを進める必要があるほどに政治的に困っているのかも知れません。
中国の政治権力は、胡錦濤氏につながる派閥と、江沢民氏につながる派閥の争いが主な物であり、表面では江沢民氏が少し優勢に見える状況でした。ただ、5年後は胡錦濤氏の巻き返しがほぼ確実なので、江沢民氏は焦っていたと思います。その中にあって習近平氏には強固な基盤があるようには見えていません。
この状況で胡錦濤氏と組む様子もなく江沢民派を追い落とすようなことをして、彼の政治権力は大丈夫なのでしょうか。素朴な疑問であり、習近平氏自身も権力の全体像が見えなくなって来ているのではないかと感じさせられる状況でした。
その結果胡錦濤氏が、江沢民一派を追い込むだけでなく習近平氏を失脚させる動きに出てくる可能性が上がったと思います。
習近平氏を失脚させるのは、経済運営がこのまま失敗してゆく場合の責任であり、4年先の交代まで待てない位に中国が混乱する場合です。政治権力が足の引っ張り合いを始めて収拾がつかなくなると、軍の立場もあって分裂に流れるのか、それとも今回の様に西側の要求に乗って情報公開を求める民主主義が出てくることになるのか、どちらにしても変化が起きる流れになるでしょう。政治の混乱と権力闘争が進んでいる様です。
現在グラフをどの様に書いて未来を調べるか、見直しをしています。これまでの項目だけでは十分でないと判断しており、物事の相関関係を考え直しています。経済と戦争を見ようとしていましたが、それぞれの出来事の相関をもう少し考えた物に修正しようとしています。
今回のHPは情報の提供のみですが、準備が出来たところから改めて未来の影響を調べてみたいと思っています。
稲生雅之