繰り返す歴史・日本の財政破綻と敗戦 11月5日

 私たちは歴史から何を学んでいるのでしょうか。今を生きる私たちは今目の前にあることに囚われるばかりで、またその様に仕向けられるばかりで、歴史の教訓を無視させられているようです。
 第二次世界大戦、太平洋戦争、大東亜戦争など様々な名前で語られる戦争の歴史が日本にはあるのですが、この当時と同じ事がまた繰り返されようとしているのです。

 当時の日本はアメリカ発の大恐慌後の経済的な困窮の中で、通貨の価値を下げることにより経済を回復させています。金本位制度からの離脱とその後の貿易の回復です。イギリスの綿産業との競争に勝つことで、自国の経済を立て直したのでした。
 この時のイギリスの経済における困窮が、当時の日本を戦争に追い込んだ貿易のABCD包囲網につながって行くのです。アメリカ・イギリス・中国・オランダの略号です。

 戦争は日本の政治経済的な力を押さえるために起こされた部分があると思います。ハルノートという無理な要求を突きつけられて日本の首脳部は戦争に突き進む事を選択せざるを得なくされたのでした。当時の人々も利益を求めて争っていたのです。
 日本の海軍将校はアメリカに負けると決めつけていたので、戦争の始めから国を裏切り戦争を始めているのです。真珠湾攻撃などはアメリカに筒抜けの作戦であり、今では多くの証拠も出ているのでこの事を否定することは出来なくなっています。

 緒戦の真珠湾やシンガポールなどでは大きな戦果を残すことが出来たのですが、その後は予定通り負けて行きます。潜水艦による商船破壊を行わないなど日本の海軍のしていたことには多くの疑問を感じています。海軍には補給を含めた戦略を理解している人が誰もいなかったと言われても仕方がないほど愚かで信じられない行動なのです。一般に言われる陸軍だけではなく海軍も主導する形で日本を敗戦に導いたのでした。

 その後日本は戦時公債を償還出来ずハイパーインフレに飲み込まれて行きます。国を支えた国民はその財産を失うことになり多くの人が苦しんだのでした。
 戦争に勝っていればアメリカやイギリスなどから賠償金を取るなどしてこのインフレを起こさずに経済を運営出来ていたかも知れません。単に勝てば官軍の幻想でしょう。軍部は勝てないと分かっていたにもかかわらず、当時の人々は戦争に勝てると誘導されて戦争に突入していったのです。

 今更この様な話を聞かされても何のことかと思われるかも知れません。それでも今の日本の状況は当時の戦争が始まる時期にかなり似ているのです。もちろん全く同じというわけではありませんが、非常に示唆に富んだ厳しい状況を迎えているのです。
 今の私たちの経済を苦しめるリーマンショックは、当時のアメリカの引き起こした大恐慌と同じに見えると思います。

 今の日本の安倍政権はアベノミクスという経済政策を推進し、円安を通じて競争力を高めています。これも大戦当時に似ているのです。一方では中国との間に緊張を作り出し、戦争が起きるかも知れないと国民に警告を発しています。戦争が起きても困らないように憲法を改正し、アメリカ軍とも協同で行動が出来るように法体系を修正しようとしているところです。

 貿易に関してもTPPと呼ばれる環太平洋戦略的経済連携協定を推進しており、アメリカや他の国々との貿易を推進しようとしています。
 このTPPにおいては、TPPに参加しないという選挙の公約を破ってまで行う政策です。日本の国益を売り渡すだけなので、中国を囲い込むために必要な戦略だから参加すると説明する政治家もいる程です。

 日本は今、中国との間で尖閣列島での領土問題を起こされようとしているところです。歴史的にも両国の首脳の間で棚上げにされてきた問題であるようなのですが、この問題を利用して中国は国内問題の解決を目指しており、日本は日本で防衛力の強化や国の独立に向けたポーズを取ろうとしています。

 一方の中国ですが大戦時の日本のように、TPP関連の貿易で追い込まれて戦争に訴える事になるかも知れないのです。これは歴史に見るとABCD包囲網で追い込まれた日本が戦争当事国として中国に変わっているだけです。
 実際に戦争になると何が起きるのでしょうか。日本はアメリカから武器を大量に購入すれば、尖閣列島を領土紛争から守ることは出来るでしょう。これに対して中国は日本の他のエリアを攻撃することになって行くはずです。もちろん戦争に勝つためです。
 その場所とは日本にたくさんある原子力発電所です。

 今の技術では中国からのミサイル攻撃を100%防ぐと言うことは不可能です。完璧なミサイル防衛システムなどあり得ない物であり、こんな事は始めから分かりきった現実なのです。それでも戦争につながる行動が実際に起こされているのです。尖閣を守っても、国土が放射能で住めなくなるのです。今の政策ではこの様な単純なことさえも無視されるのです。平和ぼけと言うよりも戦争の狂気とリスクを甘く見ている人や政治家が本当に多い様なのです。

 経済界からは原発を再稼働する希望などが出されていますが、戦争の覚悟をする国であれば、稼働している原発を抱えて戦争などは本来出来るわけがないのです。国の将来を真剣に考えた意見ではなく、自分達の利益だけを考えた意見なのでしょう。戦争を常に意識しているイスラエルには、原子爆弾はあっても原子力発電所はないのです。彼らは狭い国土における放射能のリスクを十二分に理解しているのです。

 この様な状況で戦争にまでつき進んだらどの様になるのでしょうか。少し考えてみて下さい。太平洋戦争の時にも日銀の国債引き受けにより財政は悪化して行き、敗戦と共にハイパーインフレを引き起こしたのです。
 今回もし戦争を起こすのであれば、日本政府は間違いなく軍備を増強するでしょう。この資金はどこから出てくるのでしょうか。

 アベノミクスには日本の財政の問題を隠蔽する効果もあるのです。日銀の異次元緩和の名の下に大量の資金が国債購入に投入されて市場にあふれようとしています。このお金がなければ、現実には政府の財政も危ういのが現実なのです。経済の落ち込みもあるのですが、これまで先送りしてきた日本の財政問題が根底にあるのです。

 日本はこれまで貿易収支が黒字でしたが、ここに来て西暦2011年以降は赤字が定着しています。この赤字が拡大すると経常収支という国全体の収支も赤字になり資金を海外から借りないといけなくなります。政府の持つ米国債も使いたいところですが、これを売りアメリカを経済的に苦しめることは現実的にも、政治的にも出来なくされています。少なくとも、いざというときの戦争に協力してもらえなくなる位はどなたにも想像出来るでしょう。
 この状況で戦争を仕掛けられることを考えてみて下さい。

 武器を購入することは攻撃を受ける恐怖から止められないでしょう。原子力発電所を守るためとか、尖閣列島を守るためとかで大きなお金が動くことになります。戦争にかり出される人々にも費用がかかるのです。これらは全て日本国内でまかなわれるのであって、誰かが資金を出して戦争をさせてくれるわけではないのです。

 誰が考えても、大きな赤字、大きな国債の発行が必要になることが明らかでしょう。加えて戦争にはどれくらいの時間が必要か誰にも分からないのです。決して長引かないとは誰にも明言出来ないのです。
 この様にして始める戦争の結果ですが、これも始めから分かりきっているのです。尖閣列島を守れても、日本の各地にある原子力発電所は戦争の末期に破壊されて、そこから今以上に大量の放射能が漏れ出すのです。その結果国は荒廃して戦争を継続することなど全く考えられなくなるでしょう。大戦で広島と長崎に落とされた原爆と同じ事になり、ここでも歴史の繰り返しなのです。

敗戦が決まると、それまでに費やした国債の償還が待っています。今でも先進国一番のGDPの200%を超える金額で、何とか安定消化しているレベルにあるのです。ここに戦争における大量の発行が重なったら何が起きるでしょうか。
 日本の国債は国内で消化されるので、恐らくこの時点まで日銀と国内の金融機関は強権発動もあってがんばるでしょう。でも敗戦すればこの国債を償還しないといけません。

 もちろん国が荒廃すれば償還どころではありません。待っているのは間違いなくハイパーインフレでしょう。ここでも再び歴史を繰り返してしまうことになるのです。そこに加えて今まで以上の大量の放射能を世界にばらまくのです。遺伝子に関わるレベルで生態系に大きく影響することにもなるでしょう。

 大戦当時は軍の暴走を許したことが戦争につながったとされていますが、当時の国民もマスコミも戦争への流れを大いに支持していたのです。未来を真剣に考えることもなければ、その為の情報にも乏しかったのです。私たちの多くは当時の状況を知らないので、今戦争に導かれているというリスクが分からないのです。今回は歴史に照らせば暴走するのは政府であり、国民もマスコミもこれを支持してゆく事になるかもしれないのです。大人の誰もがその責任を負っているのです。

歴史を繰り返さないためには、私たちは無責任な安倍政権の政策に反対を表明する必要があります。国民がもっと真剣に考えないといけないことだと思います。このまま戦争に突き進む姿勢を続けると、海の向こうで戦争を望む勢力に絡め取られ、中国との間に戦争を起こされることになります。今のままでは、国を思う安倍総理も亡国の総理にしかなれないのです。真剣に戦争の狂気とリスクを考えているとは思えないのです。

 国債の発行は急上昇し、今でもぎりぎりの償還は明らかに不可能になるでしょう。ハイパーインフレに加えて国土が放射能で汚染されることをどうやっても防げないのです。避けがたい未来です。そしてこの戦争による破壊が世界に明るい未来を導くことは、間違ってもありません。

焦土から立ち直るには放射能を除去する必要があるのですが、今の私たちには出来ない技術です。そして歴史に名前だけ残る通商国家、ローマと対立したカルタゴのように、歴史を積み重ね繁栄してきた日本は他の国々と対立したことにより、消えてしまうことになりかねないのです。

 ここに書いたことはコードから未来を出す前に単純に考えた日本の未来です。今のままではこの可能性が高まって来ているのですが、コードからこれだけの内容を未来予想として出すには時間がかかります。日本の情勢が変わらなければ、次々回の本でこの未来を詳しく見て行く事になると思います。恐らく世界が崩壊して行く未来の一例になっているでしょう。
 私たちの日本と世界の将来を真剣に考えましょう。本来であれば勝てない戦争よりも日本の財政問題を真剣に考えないといけない時なのです。

国債を守ることはこの国の未来を守る事であり、誰にとっても、とても、そして本当に大切なことなのです。そして、私たちに命をつないでくれたたくさんの人々、大戦で命をかけて国を守ってくれた多くの同胞に恥じない行動が必要なのです。彼らは私たちのためだけに行動したのではなく、その勇気ある行動が戦後の多くの民族の自立を生み出していったのです。彼らの作り出してくれたこの流れを、私たちはどの様にしたいのでしょうか。
財政問題で多少苦しくても目先の経済の利益が全てではなく、他国との協調も含めて未来の繁栄を考えた行動が必要な時なのです。

 ローマとの戦争に敗れたカルタゴには大量の塩がまかれました。人を住めなくするためです。これははるか過去の戦争の狂気なのですが、日本は放射能により国土に住めなくされてしまうのです。
 目先の利益に釣られることで、悲しい歴史は繰り返すのでしょうか。歴史は学ぶために、命を未来につなぐことを学ぶためにある物だと思います。

太平洋戦争とその後の戦争の比較
太平洋戦争        尖閣の紛争とその後の戦争
戦争の遠因     アメリカの大恐慌     リーマンショック
自国の利益だけ   円切り下げによる貿易   アベノミクスによる円安の貿易
考えた政策    (イギリスの恨み)    (中国の恨み)
貿易政策・国際協調 ABCD包囲網を受ける  TPPによる中国の包囲に参加
戦争への暴走  軍部           政府
国民とマスコミ   熱狂的支持        支持?
国債        日銀引き受け       日銀引き受け
戦争の終期     広島、長崎への原爆    原子力発電所への攻撃
結果        敗戦とハイパーインフレ  敗戦とハイパーインフレ
          戦後の他民族の自立や   放射能による国土の喪失?
          独立を助けた

稲生雅之
 行きすぎた対米従属が引き起こす悲劇なのですが、多くの人々の目が覚めるような状況とはどの様な物なのか、まだ分からずにいます。
 先週書いた経済の問題が起き、財政の問題にすり替えられる場合、私たちはこの未来が目の前に来る事を考えないといけないのです。
 多くの日本人は、アベノミクスに騙されることなく、反対する売りで向かっています。この点は頼もしいです。この先の演出についてはさらに注意して頂ければと思います。

 次の本の出版の時期ですが、書き足すことが出てきておりまだ決まらずにいます。今回ここに書いたことなどは次々回の本に解析として載せることになると思われ、その先の仕事まで増えてきているのが現状です。マヤ暦で調べる過去についても、当時の気象の変動などが確認出来るようになってきました。こちらは簡単に次の本にも紹介致します。
 次の本が出版出来るまで資金繰りが厳しいので、ソフトやコンサルの申し込みなどご検討頂けると嬉しいです。よろしくお願い致します。
 あと、今週の分もコピーして広めて頂ければ幸いです。