QE3とシリア情勢について      9月19日

 シリアへの空爆とアメリカのQE3の縮小について、どんな結果になるのかを見ていました。私にとってはそれぞれ意外な結果となりました。
 シリアへの空爆は、ロシアでのG20においてアメリカの一部とロシアの一部で協調が取れる部分を見つけ出したことにより、回避される状況だと思います。

 マスコミなどは戦争をあおる側であった様子で、シリアの空爆が今にも始まると言う感じの報道でした。ロシアは一貫して反対していましたが、どの様に結果が出るのかよく分かりませんでした。
 シリアでの1度目の化学兵器の使用は、反体制側であったと現在は言われています。アメリカの政府首脳陣がこの様なことを知らないはずはなく、この時も始めはシリアへの介入を口にしていましたが、結局うやむやにしてしまった感じでした。

 今回は2度目なので、同じ轍は踏まないはずです。それにもかかわらず、アメリカは化学兵器の使用が明確にならない間に空爆を強行しようとしていました。もう一度同じやり方をして何を手にしたいのか、その時には分かりませんでした。
 振り上げた拳をただ下ろすと言うことにはならないので、その代償が何になるのか、よく分からないまま情勢を見ていました。

 報道ではアメリカのケリー国務長官が、記者の質問に答えたところをロシアがつけ込んだように言われています。
 G20の時点で化学兵器の廃棄について話し合ったという情報が流れていましたので、この国務長官のやり方は始めから予定していた物だと思います。ロシアとの協調がうまく出来たので、空爆を止める方向に動けたのでしょう。

 この先まだアメリカに空爆を行わせようとする動きも出てくるかも知れませんが、アメリカの空軍が反対しているなど、今までからするとちょっと考えにくい情報も流されています。国益にそぐわないという話であって、空爆を望む人々の利益と相反するということを明確にしているように見えるのです。

 イスラエルの関連が気になってはいますが、こちらは空爆を望まないという情報がさんざん流されていました。これがほんとだったかどうか、この先分かるときが来るかも知れません。イスラエルについては改めて解析をしないといけないと思わされました。
 ケリー国務長官がイスラエルへの状況説明を必要としたので、ここには理由があることでしょう。

 始めから化学兵器をシリアから取り除き、同時にゲリラなどによる化学兵器への使用を思いとどまらせるという目的を描いて行ったのだとしたら、素晴らしい結果だったと言えると思います。アメリカもロシアもこのエリアから化学兵器をなくしたいのでしょう。
 ここに至るまでに戦争を望む人々をうまくコントロール出来たことが、良い結果につながったのだと思います。

 中東には不安定要因があり、その大きな一つがイスラエルの持つ核兵器です。公式に所持を認めない物であって、イランの核兵器同様に戦争を呼び起こす物になっています。
 イランの新しいロウハニ大統領は、核兵器は作らないとアメリカのメディアに語ったとされています。とても良いニュースなのですが、イスラエルが核兵器において世界から追い詰められる状況が起きてくることになります。これからその続きが起きてくる事もあり、ここでも解析が必要と思わされた次第です。

 同時進行していたもう一つのリスクですが、これだけ株価を世界で動かしておいて、QE3の縮小がなかったことには、正直驚きました。
 アメリカの経済指標に満足が出来なかったという感じです。単純には多少指標に問題が残っていても、縮小を始めないと海外への影響だけでなく、アメリカ経済もバブルに注意が必要になると思えています。

 FRBのバーナンキ議長の会見趣旨を見ると、問題はもう一つあって、そちらにも注意しているという感じに見えました。
 2011年にもアメリカは財政の崖の問題を起こし、株価の低落などを招いています。今回も同様なのですが、次は10月中頃とのことです。FRBがこの影響を大きいと感じるほどですので、また水面下で動きがあるのかもしれません。

 9月はこのまま株価は高めに維持されて、10月のその時を迎えることになるのか、正確には分かりません。QE3の縮小は遠のいたように感じられます。
 今年の7月のアベノミクスの低落と、中国人民銀行による救済措置をグラフから予想出来ていました。その時の公表データーは非常に分かりにくい物でしたので、今回本に載せるに当たって分かりやすくしました。今回このHPにも公表します。

 現状この時の条件のまま時は流れていて、9月、10月のアベノミクスが上がるか下がるか、明確には分からない状況です。可能性の高い未来として状況を見ることは難しい状況です。未来を知るには変化の条件が必要なのかも知れません。
 財政の崖の影響が出るかなどはこれから調べて公表したいと思います。取り敢えず危機的なことは当面先送りされたようですが、経済については10月に続きが待っているようです。

稲生雅之