8月を終えた日経平均は7月末に比べて値を下げています。月の初めに一時的に高くなりましたが、上げ下げを繰り返しており、13,388円が今日の終値です。
結局の所はアメリカFRBの財政政策であるQE3の縮小が始まるかどうかで、この先の大まかな流れが決まります。
このQE3という金融緩和政策の縮小ですが、9月に始まるのか、12月頃まで先延ばしされるのか、明確な答えはありません。FRBの関係者の中でも意見は割れているようで、結局アメリカの経済指標待ちで、9月中頃のFRBの判断を待っている状況です。
アメリカの経済その物には強さも弱さも表れており、QE3の縮小を始める判断には明確な根拠が存在する状況ではないようです。
今までアメリカ、中国、EUとロシアの経済の未来を見てきていますが、日本の経済の今後もおおむね同じ状況でした。
ここに来てシリアの情勢が大きく変化しており、様子を見ています。始めは29日に空爆か巡航ミサイルの攻撃が一部で行われるのかと思っていました。
どういうわけかイギリスの議会が反対し、今の時点ではアメリカの単独行動による軍事攻撃になるようです。政府にはこの反対は始めから見込まれていたと思えます。
こちらの情勢の見方は前回の中東戦争の所に書いたとおりです。単純には、シリアにあるイスラエルへの攻撃の出来そうな場所や準備施設を、巡航ミサイルなどで破壊しておけば良いという物かと思っていました。
実際にどうなるかはこれからなのですが、シリア軍の反政府勢力に対する優勢な部分を破壊するのか、それともイスラエルへの攻撃を阻止するためにだけ行動するのか、結果の情報は流れてくると思います。
前回に引き続き、今回の化学兵器も反政府側の使用による攻撃である可能性が高いと思っています。シリアの政府高官が反政府勢力が近い将来に欧州で化学兵器テロが起きると警告するくらいです。
これくらいの情報でイギリスが攻撃をためらうことはないと思うのですが、反政府勢力はアルカイダのような物です。ここでは欧米はアルカイダに協力しており、化学兵器を渡してテロまで起こさせるのかも知れないと思えてしまいました。
この種の緊張を作り出しテロを起こしやすくすることと、アメリカが単独でも動く以上は、あくまでイスラエルのイラン核施設攻撃に関連する障害を取り除くという目的がありそうに感じられました。
欧州のテロと名指しされていますが、今回のシリア攻撃はアメリカとイギリスとフランスの主導する物です。イギリスが下りるとフランスが残り、攻撃の対象になるのでしょうか。反政府勢力は欧州の協力で動いていますから、結局テロもシリアの名を語りフランスを攻撃することになってしまいます。
実際には欧州のどこで起きるか分からない事になると思います。テロの可能性は経済にも大きく影響しますし、その後の中東戦争への未来にも影響してくるでしょう。テロは911程の物にはなりにくいと思いますが、中東戦争を起こすつもりで行うとすれば、かなりの規模にも注意が必要です。
911でもたくさんの人が亡くなりましたが、今回のシリアの化学兵器攻撃でも多くの人が亡くなっています。これはシリアへのテロと変わらない物であり、これからその連鎖反応を演出しようとしているように感じられるのです。
今までQE3の縮小の始まりに注目してきましたが、今回の解析ではテロのリスクを見る事にしました。世界経済に影響するテロになるかも知れません。
今回のシリアでの化学兵器の利用は、状況的にもこれを行った側が追い込まれているのであって、反政府側の可能性が高いです。さらにこれをシリア国外で無理して使えば、ますますぼろが出てくるでしょう。アメリカでは証拠を隠滅したり様々な工作が可能かも知れませんが、欧州では同じようにはできないのではないかと思います。
この意味で、欧州では実際に誰が行ったのかが分かってしまうので、化学兵器のテロは起こりにくいと思いますが、その可能性を完全には否定できません。そうでなくとも大規模なテロを起こせば、さらなる混乱を起こして行くという目的は達せられます。ただそれほど簡単には実行できないでしょう。
いやな感じがする状況ですので、テロのリスクは解析できるので行う事にしました。
日本の経済の9月以降
・アメリカ発の経済問題が起きる場合は9月に影響を受けて経済が落ち込む。起きる可能性は低い。
・今の流れでは10月まで経済はさらに低迷して行く可能性が高い。落ち込みは12月、2月の前後にも可能性がある。政策の見直しにつながるかもしれない。
・来年の後半に起きる可能性の高い経済の落ち込みは、各国同様に日本も影響を受ける。
・9月以降にテロの影響で市場が落ち込んでも、しばらくして回復すると思われる。その結果、来年の紛争・戦争に向けて準備が進められることになるかも知れない。
今アメリカの経済は回復基調なので、QE3縮小のリスクが続くことになり、株価は大きく上昇して安定する可能性は当面低くなると思います。金融の縮小は日本市場にもそのまま影響します。
10月の半ばでアメリカの財政の崖の問題も再燃します。どんどん先延ばしする政策が行われると思いますが、市場はそのたびに上下するのでしょう。
テロで見る場合、テロのない場合と比較すると10~12月にリスクが上昇しており、中でも12月から1月にかけて注意が必要かも知れません。この時期を狙う理由はまだ分からないです。
日本でも尖閣の問題が同様に紛争などの形で引き起こされて、まずは防衛予算の獲得、武器の調達へと進んで行く可能性はあると思っています。
戦争を起こす側にとっては、アジアと中東の2つの場所での緊張が存在する方が良いと考えているのかも知れません。関係国を心理的に追い詰めることにはなるでしょう。
一部の人々による戦争への誘導行為はしばらく続くかも知れませんが、テロにしても、宗教の紛争にしても、私たちの多数がそれを望んで引き越す物はないと思います。
戦争は環境を破壊するだけですし、経済にも一部にしかメリットがなくなっています。国益としては大きな戦争にはあまり意味がないと思います。この意味でも各国が参加するという大きな戦争にはなりにくいはずです。アメリカだけが強すぎて、以前のような戦争にはならないのです。
こういった現実を知ることで、冷静に対処してゆける様になることを願っています。
稲生雅之