EUに続いて今回はロシアの未来の解析結果です。ロシアの経済としてはEU、中国、アメリカの影響を受けていることが統計的に明らかです。未来についても同様にそれらの国々の未来と似ている部分を含んでいました。
ロシアの場合は、EUや中国同様にアメリカの経済問題の影響を受けるのですが、その影響が少し長引くようです。
ロシア経済の来年9月までの予想
・アメリカの経済の影響を受けて9月から10月、12月から2月くらいまで経済が落ち込む可能性がある。
・2月については経済の落ち込みに可能性があるが、ロシアの事情で起きるかも知れない。
・インフレはアメリカほどではない。
・来年6月以降にアメリカや中国の経済の影響を受けて、大きく落ち込むかも知れない。
アメリカ経済の影響を受けると、落ち込みが1ヶ月ではなく2ヶ月に及ぶ可能性があるのか、それとも1ヶ月くらい遅れてひどくなるのか、明確には出来ていません。
過去のリーマンショックでは同時に影響を受けていますが、その後の落ち込みはロシアの場合激しい物になり、政府が企業に資本を注入するレベルに至っています。
この経験があるので、次に起きてくるQE3の縮小では経済指標が落ち込むレベルで進んでゆけると思います。
来年の6月以降の危機では、その内容によりますが、リーマンショック並みであれば、ロシアも大きく影響を受けて経済は落ち込むことになると思います。
リーマンショックの経験があり既に対処の仕方を学んでいるのですが、落ち込むEUと中国の強い影響下で経済を運営することになると思われ、思う以上の影響を受けることになるかも知れません。
もともと地続きでEUと中国の影響を受けるのは仕方がないので、以後のブロック経済的な結びつきが強くなる方向にロシアの経済が変化することになるかも知れません。
ロシアの経済は、ソ連の崩壊からロシア国債のデフォルトを通じて多くの困難に直面し、その中にあって石油と天然ガスの資源を利用することで、何とか現在の状況を保っています。私たちの経済とは比較できない仕組みで運営されていますが、ソ連時代に歪んだ経済の仕組みがそのまま続いてきたので、うまく市場経済に対応できていない様です。
ロシア関連の本を読むと様々な事が書かれていて、ロシアは契約や約束を守らないだの、ガスプロムという会社が国策会社で強権的に運営されているなど、西側の価値観で批判する物がたくさんありました。
批判には正しい物もあるのですが、西側がロシアを批判できるほど正しいのかというと、それにはちょっと問題があるのではないかと思えました。
ロシアの経済を調べて考えさせられた事に、カラー革命という西側の仕掛けた革命の結果があります。
ソ連崩壊後に誕生した独立国家共同体の国々の中に、西側の利益を求める人々がうまく入り込んで革命を起こしてゆきました。目的には経済的な利益を求める行動があるのですが、表面には自由化などの西側の論理が飾り付けられていたと思います。
ソ連の共産主義による自由の制約が大きかったことと、その後もロシアとの関係からEUに参加したくても出来なかったという思いがそれぞれの国民にはあったのだと思います。
ウクライナ、グルジア、キルギスは一時的に西側の国になったようですが、現在はうまくいっていません。現在ウクライナは親ロシア政権ですし、グルジアはロシアに侵攻したサーカシビリ政権が実権を失い政治的に処罰される手前まで来ています。キルギスでも大統領が亡命し暫定政府を経て現在に至ります。
西側の力を得て権力を握った人々は、自分の利益を追いかけるばかりで、国民に愛想を尽かされているのです。
ロシアの強権が怖くてこの様になっているわけでもありません。ウクライナは過去からのつながりの強いロシアとの現実的な共存を選んでいる感じですし、戦争を起こしたグルジアもこれからロシアとの関係改善を図るところです。キルギスはユーラシア経済共同体という物を通して経済的な関係を深めるところです。
ソ連時代には経済の運営が非常に困難な物だったので、その結果として腐敗が蔓延したという状況があります。経済を計画経済として計画通りに進めることが出来れば良いのですが、これは天候に左右されるなど今の私たちにも不可能な不確定な物です。この不確定な部分を不正により解決していったのがソ連時代の腐敗の蓄積です。多くの人にこのベースが出来てしまっていたのです。
この状況の中にあっていきなりソ連が崩壊し急激な自由化を推進したので、不正によるたくさんの国有財産強奪が起き、現在に至る不正のはびこる経済が誕生したようです。国民は不正のない経済を望んでいますが、そのやり方がまだ育たないところで西側型の利益追求を行っても、結局自分が権力による強奪者になるだけで、国民の望みを叶えることは出来なかったようです。今の私たちにも簡単に改善できる物ではないのでしょう。
この現実の上に国益を追求しているのがプーチン大統領に見えています。批判もあるとは思いますが、指導者として現実的な利益を様々な形で求めているのであって、国や民族の独立というお金よりも、腐敗よりも大切な物を守っていると思います。
ロシアには政治の崩壊の経験もあるので、これに比べればリーマンショックレベルなどたいしたことはないと逞しく行動してゆくと思います。アメリカに起きるかも知れない銃による悲しい混乱よりも、政治的に安定することになるかも知れないとさえ思います。
アラブの春でも似たようなことが起きている気がしています。リビアもエジプトも、チュニジアも未だ混乱の中にあり、リビアにおけるNATOの空爆などは本当に必要な物だったのでしょうか。ここでも根拠のない情報が利用されており、アメリカのイラク戦争同様に目的は始めから歪められていたのではないかと思います。空爆されたのはリビアのインフラであって軍事関連ではない物があるなど、リビアの資産を奪おうとした者達が今混乱を大きくしているのでしょう。
同様にシリアでも今大きな混乱が起きています。
ロシアがシリアにある自国の軍事基地のためにがんばっているようにも見えますが、核開発問題で揺れるイランに対する圧力でもあるのです。西側は化学兵器を用いたといってシリアを非難していましたが、ここでもその論拠は明確ではないのです。西側の押す反政府軍からは彼らが人を食らうという非人道的な動画も出され、この事をプーチン大統領が批判しています。何が正しい情報なのか分からなくされている様です。
国連や政府やマスコミなどを使って情報を操作し、資金を利用して自分に都合の良い政策を実施することが西側の得意分野のようですが、イスラムと旧ソ連の国々に対してこの政策がうまく行かなくなっていることを感じざるを得ないのです。今は何とか混乱さえ起こせれば良いという様に見えてしまいます。
4月にアメリカのボストンでテロがあり、8月になって今度はアメリカ政府により世界各地でアメリカに関連する場所でのテロが予想されて公式に警告されています。アルカイダの名の下にイラクやイエメンでのテロが行われているようです。
こちらの経済予測は今まで調べたことを網羅して全体の関連を見るようにしたいと思っています。9月か12月に起きることがQE3の縮小であれば、一時的な混乱で経済は回復してゆくと思いますが、中東での戦争を求めるテロや紛争であれば、情勢が変化してくると思います。
欧米の一部に戦争を望む人々がいて、自分たちの深刻な経済問題の解決とイスラムに対する勝利を望んでいるようです。現時点では戦争により経済問題の解決を計ろうとする流れが存在するので、この未来も調べる必要があると思っています。
来週はすみませんがお休みします。中東情勢に関連してたくさん本を読むことと帰省をしてきます。ロシアの未来を調べた結果、全体を見てゆく上ではまだまだ多くの事を知る必要があると教えられました。
日本にいると政治と戦争と経済が一体化しているとは思えないのですが、混乱を経験してきた国々を見ていると、これらを一体にして自分たちの利益を求めるという姿が見えてきます。そしてその中にあっても、私たちは事実を知ることであるべき姿を選んでゆけるのではないかと思います。アラブの春もカラー革命も情報を知る事の大切さを教えてくれています。時と共にゆがめられた情報も正しい物に変わってゆくので、私たちがこの時間を縮めるだけでも一歩前進できるでしょう。
稲生雅之