アメリカの未来2            7月18日

 先週に続いてアメリカの経済と財政の未来についての解析です。
 アメリカ経済の未来について、8~9月頃にアメリカ発の経済問題の起きる可能性があると説明しました。この関連の続きを説明したいと思います。
 昨日夜にバーナンキ議長のアメリカ議会での証言があり、当面の政策についての説明がありました。この説明によれば、QE3の縮小は9月にも始まるかも知れないけれども、実施するかどうかは経済指標によって決められるとしています。

 市場がFRBの政策により混乱することを防ぐためですが、5月以降これまでに金利の上昇や株価の下落などを招いてきています。単なる警告で大きく動いたのですから、次の本番はもっと大きく動くことが予想されています。
 もっとも、こういった予想があるからこそ、混乱を小さくすることが出来ると考えているのだと思います。未来に対して透明性の高い政策なので、未来のリスクが明確になる分、自己責任で行動して欲しいと言うことなのでしょう。

 もし9月にQE3の縮小が決定されるとしても、それは9月の中頃の話であって、8~9月頃にアメリカ発の経済問題が起きると言うことよりも後の展開になると思います。
 コード上は8月に崩壊などのピークが出されており、この意味するところを調べようとしていました。

 このピークはアメリカの政府部門と金融機関をメインに解析した物で、バーナンキ議長の市場への警告を条件に加えた物に出てきます。
 一方アメリカ市場をメインに解析すると、崩壊などのピークは10月頃になります。グラフを組み合わせる条件を変えると9月になる物もありますが、8月に一致する状況にはなりませんでした。

 リーマンショックの解析では人を通じて状況を見ると、その人の関与の度合いが分かる感じでした。今回の解析にもこの手法を用いました。オバマ大統領とルー財務長官、そしてバーナンキ議長です。
 ルー財務長官はオバマ大統領との距離も近いので、ウオール街のための経済政策が一方的に実現される事はなさそうです。

 今アメリカで経済の問題が起きるとすると、財政の崖の関連が大きいと思います。この問題はここ数年引きずっている物であり、5月の中旬以降はアメリカ財務省が内部で資金をやりくりして対策することになっています。
 財務省の財布の中身は正直分かりません。様々に意見されるところですが、アメリカには本当に資金があるのか、それとも一部粉飾されているかなど状況が複雑で明確には議論できないようにされている感じです。

 どの国の政府にもこの種の問題はある物なので、この問題がどれほどの物なのかは評価の分かれるところです。
 今もしアメリカ財務省の高官に資金が足りなくなったと言われると、これが青天の霹靂でアメリカ財務証券の価値をゼロにする話しにつながってゆきます。今までのドルを旧ドルとして債務を押しつけ、アメリカ国民は新ドルを使うという話しになります。

 大きな混乱を呼ぶのですが、日本や中国の持つアメリカ国債の価値が大幅に下がるので、アメリカは得をするのです。もちろんこの様な強引な手法は軋轢を呼び、日米中の関係を戦争に向けて動かす事になってゆくのでしょう。 
 この様なめちゃくちゃな政策は非常事態でないと実施されないと思います。

 さて、この3人を通して見ても8月のピークは存在しています。オバマ大統領のピークは8月より9月が高いというレベルですが、存在はしていました。財務省債券の崩壊を条件に加えると、アメリカ市場の解析にもオバマ大統領とルー長官の場合にピークが出てきます。
 何らかの条件の下にこの可能性があるのだと思えました。

 この条件で日本を調べると9月にピークがあり、1ヶ月ずれています。影響が及ぶのが翌月なのかは分かりません。ただ、中国について調べた結果は8月で一致しました。中国の通貨元の価値を下げることになるようです。
 影響は世界に及ぶと思いますが、今経済が大きな問題を抱えている中国にとっては死活問題となり、アメリカを相手に戦争になりかねない動きになるでしょう。

 結局この事態が起きる条件は、アメリカが中国や日本に戦争を起こさせないといけない場合だと思われます。PCの処理能力があと10倍くらいあれば何とか場合分けをして一通りを解析できると思いますが、並列処理システムを作り上げるまではその実現は難しそうです。

 アメリカの戦争を望む人々にとって、日本と中国の戦争は必要な物であり、その可能性がなくなると困るのです。この意味では今回の日本の参議院選挙で与党が負けると、日中の戦争は大きく遠のきます。日本の与党が負けるとこの種の混乱を作り出して戦争を望むのでしょう。自国の債務の問題にも一定の解決が得られることになります。
 アメリカの来年が苦しいという説明は前回しました。追い込まれる前に行動するという動機も存在するのです。

 こんな馬鹿なことが起きるかと言いたいのですが、コード上のつながりはこの結果を導きますし、予断なく未来を考えないといけないと思います。
 少なくともアメリカは何年も前から財政の問題を表面化させ、何度も混乱を起こしてきているのです。その先に起きてくる出来事には注意を払わないといけないと思います。

 残念ですが、今の世界情勢では権謀術数が物を言うので、自国の利益が大きく望めるとなれば、破産を避けるためには、なりふりなどかまっていられないのでしょう。
 アメリカはイラクとの戦争に際して、大量破壊兵器の存在を取り上げていました。この大量破壊兵器は実際には存在していませんでしたが、戦争は起こされ悲劇になったのです。イラクの石油資源という大きな国益の前には、権謀術数が人々の目をかすませるのです。

 アメリカの財務問題の中心は、膨張し続けた軍事関連の費用でしょう。この軍事費を抑えないと国が立ちゆかないレベルにあるのです。
 アメリカはこの軍事力と通貨ドルの力により支えられているのです。軍事力は手放せないし、印刷するだけで使えるドルの力も手放したくないのです。大きな負債を抱えてどの様にすべきかが、いまその現実がオバマ大統領に問われているのでしょう。

 金本位やアメロについても再度検討しました。金本位はウオール街が反対するはずですし、アメリカの金が相対的に少なく対ユーロ上不利になります。まじめに政策として検討される代物ではなく、現時点では金の販売のためのセールストークでしょう。
 アメロもドルのメリットを減らす物なので、この登場はもっと後の時期でないとアメリカ国民が受け入れる物にはならないでしょう。それまで待つという所です。
 アメリカも中国も通貨の価値を下げすぎたので、この反省から金が見直される時が来るかも知れません。それは次の経済の混乱の先にやっと話が出てくる物ではないかと思います。

 このまま進めば、今回の参議院選挙では与党の勝利でしょう。この先事態に動きがあっても大きく与党が崩れることはなさそうです。この与党により戦争への道がつながってゆくので、この可能性が存在することが8月危機を回避する事になると思います。

 アメリカは中国と話し合いを継続しており、6月、7月と関係を強化してきています。この流れの中で、オバマ大統領が習国家主席の話す尖閣問題を押さえ込んだという話が出されています。オバマ大統領にとって当面の戦争は回避できるという自信があるのでしょう。
 当面中国との協力関係を推し進めることで、混乱する中国との距離を測っているようにも見えています。

 そのオバマ大統領にとって安倍総理の戦争への暴走などは、簡単に止められるのでしょう。この先アベノミクスが崩れると、彼の次が見えて来ると思います。
 日米間には安全保障条約がありますが、この関係を今後も軍事的にも強化しないといけないのは日米双方の重要な合意事項のようです。この流れの中での今回の与党の勝利はオバマ大統領にとっても必要な物なのでしょう。

 それでも個人的には今回の選挙で与党に数を減らして欲しいと思っています。少しでも与党の力を減らしておく方が後で有利になると思います。ただ、オバマ大統領は動かない様です。バーナンキ議長も自身の進退を関係させない公正な態度だと感じます。
 私たち日本人には政治と向き合って問題を見つめるという課題が残されています。残念ですが、何とも言えない解析結果になりました。
 この先はEU,ロシア、中東の戦争などを見てゆきたいと思っています。

稲生雅之