アメリカの未来1            7月11日

 今週と来週の2回に分けて、アメリカの経済と財政などの未来についてお送りしたいと思います。
 現在のアメリカ経済に関して、QE3の出口戦略が目に見えるところに来ています。現状の経済指標から9月にもQE3の縮小が始まるとの意見も出てきています。
 アメリカの景気が回復するなら必要な処置になるので、現在までの所この現状を株式市場などは肯定的にとらえた反応になっています。

アメリカ経済の未来について
・QE3の縮小は9月頃か12月頃になる可能性がある。それ以降かも知れない。
・この縮小策に際して市場は低落し、しばらくしてから回復する。
・来年後半に経済に大きな問題が起きて来る可能性が出てくる。
・8~9月頃にアメリカ発の経済問題の起きる可能性がある。

 グラフから見るとQE3の出口戦略に関して、9月頃と12月頃に大きくない危機や崩壊と出ています。今までのように株価が低下する経済の縮小が起きる可能性があると言うことだと思います。
 これだけではリーマンショックのような大混乱にはならないレベルと思います。

 グラフによれば、もっと大きな危機は来年後半にその可能性が見られます。この指し示す意味などはまだ明確にはなりませんが、現在までに調べて来たアメリカの現状についてはこれから説明したいと思います。
 単純に考えると、今年よりも来年の方がアメリカには厳しい現実が待っているという感じです。

 以下項目別に調べたアメリカの現状です。グラフの予想ではなく本で調べた情報ですので、その点はご理解下さい。

・シェールガスは下火になる。
 シェールガスの未来は明るいという本が多く出版されています。ネットには問題もあるのではないかという意見もありました。
 こちらのHPでも今年の1月8日に状況を紹介しましたが、予想以上にシェールガスのブームは早く終わるのかも知れません。

 2,010年から2,016年まではコード上の強調を伴っているので、この間は拡大基調で進むのかと考えていました。どうやらここまでになるという意味だったようです。
 現実は2,000年頃のITブームと同様に、しぼんでゆくようです。それほど大きくはならないエネルギーとしてアメリカ国内でのみ使われるのかも知れません。

 原因は、ガスの井戸がすぐに涸れてしまい、ガスの産出効率が急速に低下してくることです。この現実が広がっており、いわゆる埋蔵量が低下するほどになっています。
 本のデーターでもガスの産出量は右肩上がりではなく、2,012年よりも2,011年の方が大きくなっています。

 それでも開発投資は今も続いており、天然ガスの価格など経済の指標が変化したのも現実です。アメリカ軍が中東から撤退できるくらいなので、将来性は高い物と考えていました。
 シェールガスの未来を明るくしたいのは、投機資金を呼び込むためであること、また、競争相手としてのロシアの天然ガス産業に打撃を与える目的があると思われます。
 今年よりもさらに来年はシェールガスの厳しい経済指標が出てくるでしょう。その結果アメリカ経済を牽引する魅力はなくなって行くでしょう。

 フランスでは環境破壊が大きいのでシェールガスの開発は出来なくなっています。ポーランドだったと思いますが、ここでは予想されるシェールガスが産出されず、プロジェクトが止まったとのことです。アメリカのデーターのみがバラ色に描かれていたのでした。
 アメリカでも重要な水資源を汚染するシェールガスの開発には今後も制約がついて回るでしょう。

・アフガンから撤退するも、実質敗戦になる。
 イラクからの撤退はうまく成し遂げられたようですが、同様の手法でアフガニスタンに臨もうとして失敗をしているようです。
 アメリカは、1980年代の旧ソ連と同じように、アフガニスタンでは勝てませんでした。イラクと異なる山岳地帯という条件が同様の戦略での解決を拒んだのです。ハイテク兵器もうまく機能せず、ゲリラに押されているようです。

 アメリカがタリバンとの交渉を始めることからも分かるように、この戦争はベトナム同様にアメリカの失敗になるようです。軍部はアフガニスタンでもイラク同様の結果を出せると考えたようですが、現実的問題を間違えたようです。
 実質的な敗戦が国民に理解されると、一部の人々の望む日本と中国の戦争を引き起こすことは今よりも難しくなりますし、自国の軍人の健康を犠牲にしてきた戦争のマイナス面もクローズアップされることになるでしょう。

・オバマケアによる財政、経済の悪化が懸念される。
 低所所得者、中間層向けの保険の拡充を目指したオバマケアが来年から始まります。この影響で実質資金負担の増える世帯がたくさん存在するようです。
 もう少し調べますが、私たちにとっての消費税増税の効果と同じであれば、経済は確実に悪化します。プラスの部分とマイナスの部分を検討し全体を知る必要がある状況です。保険会社を利するのみであれば、経済は悪化するでしょう。

 低所得者向けの政策を充実させているオバマ大統領なので、経済の落ち込みが明らかになれば、個人の救済的な対策をすることになると思います。
 リーマンショックでは多くの金融機関がアメリカ国民の税金で救われました。その国民は不況にあえぐも有効な雇用対策には乏しい状態でした。その中でいわゆるフードスタンプを増加させてきたのがオバマ大統領です。国家の利益を企業だけでなく国民にもバランスしたのでしょう。
 今回も何らかの対策を準備していると思いますが、財政には負担となるでしょう。国民が苦しむ中で企業のみが利益を上げても、国家はうまく行かないと言うことが明らかになる流れなのかも知れません。

・その他の来年の経済についての懸念事項
 中国の経済の落ち込みの影響を受ける。
 財政の崖は続く。
 QE3出口戦略による実体経済の落ち込み。

 この様な感じです。今年の8~9月にリーマンショック並みの問題が起きると、その先の未来は変化すると思います。新通貨アメロや米国債の問題かも知れません。
 グラフで見る範囲では、この種の問題が起きたとしても、来年後半にはやはり経済に問題が起きるようです。リーマンショックはある意味人為的な物と考えていますが、同様に今回も誰かが流れを変えるために起こすのであれば、思うほどの良い結果は得られず、混乱が広がるように見えています。準備不足で通貨の価値を損ない信用を失うのでしょう。
 続きは来週です。

稲生雅之