先週日本の7月について説明しました。今回は中国についてです。
調べてみたい中国の問題とは、日本との間で尖閣列島の帰属について争いを起こそうとする姿勢でいることと、中国の経済がどうなるかです。
前回中国の上海での銀行間金利が上昇した事をお伝えしましたが、金利を上昇させた中国人民銀行は政策を変更し、金融を緩和して金利の上昇を止めることにしたようです。
特定の銀行に対して融資を実行したらしいとされていますが、どの銀行かは分からないようにされています。分かればその銀行が倒産などの厳しい状況に追い込まれる可能性があるからだと思いますが、中国の場合は西側の国家と異なるので、今後どの金融機関もつぶさないという政策になるのかも知れません。明かなモラルハザードの始まりです。
日本ではノンバンクと呼ばれる銀行でない金融機関が中国でも大きくなってきており、これらの金融機関に流れるお金を絞るために中国人民銀行は金融を引き締めようとしたらしいです。それが2週間で取りやめになったようなので、何らかの別の問題が起きているのかも知れません。
調べてみると、ヘッジファンドで有名なジョージ・ソロス氏が4月に中国の経済についての警告を発していました。この時点でリーマンショック並みの問題が起きつつあることを指摘しています。
「中国におけるシャドーバンキング(ノンバンクなどのこと)の急激な成長は、07~08年の金融危機を引き起こしたアメリカのサブプライムローン問題と不気味なほど似通っているところがある。」とのことでした。
今中国では習近平氏の政治が始まり、彼は腐敗の撲滅として官官接待などの禁止や豪華な宴会を止める様にしています。
私たちにはあまりぴんとこない部分かも知れませんが、この政策の実施により経済が明らかに落ち込み飲食店やお酒のメーカーの株価が下がるほどです。
それほどまでに社会に影響があるのですが、この政策を実施する大きな理由は、どうやら、共産党が腐敗により自滅することを、国民の怒りにより権力の正当性を失うことを恐れている事のようです。
権力は腐敗する。絶対的権力は絶対に腐敗すると聞いていますが、中国での権力は一党独裁故に、この腐敗からは逃れられないのでしょう。
経済の問題と尖閣や南沙諸島での領土の問題は、密接にリンクしている部分があると思います。
今回の解析は3種類のメインキーワードの集まりから行いました。一つは尖閣の紛争の関係者である中国、アメリカ、日本の関連組織を複数選んでグラフを書きました。
残りの2つは中国の内部を知りたいと思い、中国の組織を複数選んでグラフを書いた物と、中国の地区を複数選んでグラフを書いてみました。地区は中国にある7つの軍の管理区域で行ってみました。
この結果ですが、答えは一致しませんでした。
今後の中国について
・一部のアメリカや日本などを含んで検討すると、7月の中国経済の落ち込みの結果、8月に中国は紛争を求める可能性がある。
・中国の地区と組織から考えると、彼らは紛争を望んでいない。9月に紛争の起きる可能性があるが、可能性は大きな物ではない。
・インフレと経済の落ち込みがこの先大きな問題になってゆく。経済は低迷する。
・7月に何らかの救済があるかもしれない。
中国全体で見ると、紛争や戦争を望んでいるのは、中国の国としての統一を守りたい中国共産党などの一部の人々のようです。国民や地方政府の人々にとっては経済の利益が優先であり、戦争で血を流す積極的な理由は存在しないという感じです。
紛争でアメリカの介入により利益を失えば、自分たちの権威が失墜します。現実にこのリスクは大きな物です。これを冒してでも紛争を望むほどであれば、それは国内的に大きな問題が持ち上がり、国民の不満のはけ口を海外に求めざるを得ない場合でしょう。
中国のこれからの問題は、自国の経済といかに正しく向き合うかということになるようです。今回の中国人民銀行の対応は、本来であれば、金融政策としては引き締めが必要なのに、中央銀行にそれを行う事が出来ないという姿をさらしたことになります。言葉を換えると、彼らにはこの先インフレに向かって進む政策しか採れないと言うことになります。
インフレは国民を大きく傷つけることになりかねません。
その中にあって、中国の経済は急速に落ち込んできています。8%のGDP成長率が6%になりかねないだの、数年で3.6%まで落ち込むだの様々に言われ始めています。
リーマンショックの時に、中国は財政出動を行い、お札を大量に印刷してばらまき政策を行い、他国よりも経済の成長を可能にしました。
この時にばらまかれたお金は多くのお金持ちの懐に消え、庶民の生活が良くなることはありませんでした。これでは国民に怨嗟の声が上がるのは当然という物でしょう。
そしてここに来て、これから中国の経済がインフレに加えてリーマンショック並みに落ち込むことになるかも知れないのです。この対応はいかに統制経済とは言え難しい物になるでしょう。
中国を詳しく見てみると、地区によりバブルとも言える経済運営を行ったところと、堅実に経済を守っているところがあるようです。バブルが崩壊すれば、この先ますますこのような地域格差は広がってゆくのかも知れません。混乱を予想している人々による自分の地は自分で守るという意思の表れに見えています。
これらは地域政府の責任なのですが、この先中央銀行の引き起こすインフレにどの様に対処するのか、地域毎に差が現れてくることになるでしょう。
その結果としてとしてかどうかは分かりませんが、このまま進めば中国はインフレに飲み込まれ、共産党は支配政党ではいられなくなる可能性が高くなります。これに対応するために紛争を起こそうとする流れは常に存在すると思います。この問題には適切な対処が必要でしょう。
この中で、中国では国が地域に分裂する流れが既に始まっています。 この流れの先を調べてみたいと思っています。
稲生雅之