先週ドイツ連邦銀行が、ニューヨークに保管してあるドイツ連邦銀行の金準備1,500トンのうち300トンを、ドイツに回収するという情報が流れました。2020年までに行うそうです。
ドイツの金準備は3千トン以上ありますが、その50%を国内に保管する決定を行ったようです。アメリカの他にはフランスに374トンあるとのことですが、この分は近く返却されるとのことです。
2001年にはイギリスにあった940トンが回収されているとのことです。ドイツとしては保管状況を確認していない金が1,500トンもニューヨークにあることになっているので、この保管を確認することと、海外に置く必要のない分については回収して国内向けに利用することを考えているようです。
アメリカに保管をお願いした金に返還要求をするとどうなるでしょうか。過去にリビアとイラクなどがこれを行っていますが、その結果はアメリカ国内の資産凍結であり、その後の紛争や戦争になる可能性があるほどの事なのです。
この時期になぜドイツがこの要求をするのか、明確な答えが分かるわけではありませんが、どのような影響が出てくるのかを調べてみました。
ドイツのニューヨークからの金 の解析結果
信頼の変化であり、アメリカ政府の負債の情報公開につながるかも知れない。戦争よりも平和につながっている可能性が高い。経済の災害、自然の災害が関係するかも知れない。金本位につながっているかも知れない。
貿易のための通貨、交換の価値の裏付けは、金本位や生産などである。
災害という言葉が出てくるのですが、この災害が経済的な物なのか、自然災害なのか、現状では区別がつきません。この関連での出来事を追いかけるにつれて分かってくることだと思います。2020年までの範囲で見ると14~16年が強調されています。
財政に苦しむアメリカでは現在自国の債務上限を上げる法案が必要であり、2月の期限が5月まで延長される雰囲気ですが、その先はまだ決まっていないようです。
一昨年の8月にも同じ問題を起こし、今年も1月初めに同様の問題を回避したところです。この時点でも問題は根本的に解決されるにはほど遠く、問題を先送りしただけです。
経済界にはこの混乱から利益を得ている存在もいるので、2月も5月も混乱を伴いながら進んでゆくのでしょう。債務は膨らむ一方で、政府がお金(コイン)を作ってこれを1兆ドルの銀行残高に変えるだの、ドルの価値を下げる話しか出てこないのが現状です。
この状況に対して、ニューヨークに置いてある金の回収とはどのような意味を持つのでしょうか。フランスの金はすぐに回収されるのに、ニューヨークの分には2020年というかなり先の期限が設けられています。なぜここまで時間を必要とするのでしょうか。
1960年代にフランスがアメリカに置いてあった金を回収したことがあります。この3年後にニクソンショックが起きてアメリカは金の兌換を停止し、今の金融体制につながってきているのです。
今回の影響もすぐには出てくる物ではないかも知れませんが、アメリカの財政に対する信頼が崩れていることは間違いないでしょう。その実態が明らかになると軍を動かす資金のないことが明らかとなり、平和につながるのかも知れません。
ドイツがユーロを支える上で、この行動が必要と判断したのだと思っています。ユーロへの攻撃は今も続くのですが、ドイツはこれを支え続ける覚悟をしているようです。このアメリカへの攻撃に見える動きには、アメリカ側での金本位を進めたい勢力の動きもあるのでしょう。
日本の金も700トンくらいあるらしいですが、日本の財政が直接影響を受けるにもかかわらず、安倍首相はこの話に触れることすら出来ないでしょう。SWFという名前(国の投資ファンドのことです)で40兆円も財政難のアメリカに差しだそうとしていますし、中国との戦争に備えて武器の購入と、憲法の改正まで話をしていることと思います。
40兆円もアメリカに差し出せるのであれば、この資金をアジア、中国などとの平和的、経済的なつながりに投資し、戦争を避けるように使う方が建設的です。貿易にも経済にも十分に役立ちます。アメリカの財政を助ける名目でしょうが、現実は一部の外国金融資本を喜ばせるだけの愚策、利益供与でしょう。ファンドである以上、何が起きるかは消えた巨額年金詐欺事件などで、もう分かっていることです。
安倍首相の英語の論文で、尖閣での衝突に関連して中国は一党独裁国家で民主的でないと非難している物があるそうです。この様な外交的な物をもっと重視して、中国の非をきちんと世界に説明する必要があるのです。彼らは国内の問題を海外に転嫁するだけの独裁なのですから、この論文だけに留まらず情報戦略にもっと力を入れて欲しいと思います。
過去の歴史は国際世論に各国の政策が影響を受けることを表しています。日本の誤解を招く行動が第2次世界大戦へとつながっていったことは周知の事実なので、今は紛争、戦争につながる政策よりも、もっと外交政策をがんばって欲しいと思います。
この状況下で、日本の平和憲法を無理をして変えると、他国には戦争の準備と受け取られることが普通でしょう。平和外交的に大きなマイナスであり、英語の論文の効果を打ち消す物です。
本当に大切なのはアメリカ軍の協力のための集団的自衛権の問題であり、これは憲法を変えることなく解決できるのです。政府の憲法解釈のみを変えれば良いだけです。中国を挑発する憲法改正は今がその時期ではない事が正論で、これが国際世論でしょう。
今回の金の問題は、各国が金本位への変化を真剣に検討し始めるきっかけになるでしょう。日本は保有する金が少なく、この点不利ではありますが、日本の経済力がこの点を補い日本円の価値を守ることにつながると見ていますので、この事で焦ることはないです。
そして、この先アジアとのつながりを強化することは、可能性の高まってきた金本位の面から見ても、貿易での助け合いになり平和なアジア経済圏を作ってゆくことになるでしょう。
稲生雅之