今年の花粉には、地域によりますが、放射性物質が含まれています。主にセシウムだと思いますが、ストロンチウムも含めて放射性物質が入っていることはすでに調査により明らかです。大地に拡散された放射性セシウムが、植物の活動により根から吸い上げられ、花粉として広がろうとしています。
林野庁による調査では、最高値は福島県双葉郡浪江町小丸で1キロあたり25万3000ベクレルという極めて高い濃度の放射性セシウムが検出されています。
その林野庁によれば、
25万3000ベクレ ルの花粉が、環境省のスギ花粉情報でこれまで最高の1立方メートル当たり2207個の濃度で、シーズン中、4か月にわたって飛散し続けたとすると、吸い込んだ人の被ばく線量は、0.553マイクロシーベルトになる計算だということです。これは、現在(2011年12月末)、東京・新宿区で計測される1時間当たりの放射線量の10倍程度で、健康に大きな影響があるとは考えられない。
とのことです。
今までに何度かお伝えしてきている内部被爆が、本当は大きな問題なのですが、ここでも触れられることはありません。
林野庁は新宿で10時間室外にいる放射能と、人が浴びる放射能は同じであると言いたいようです。でもこれはマスクをして完全に放射能を体内に取り込まないケースにのみいえることだと思います。
体外からセシウムの放出するガンマー線を浴びても、その影響は確かに少ないです。体の中で均等に微少なやけどが生じるレベルで、確率的にも大きな病気にはなりにくいでしょう。
現実は花粉を目、鼻、口から吸い込み、肺にも取り込むことが大きな問題です。内部被爆を起こしてゆくことになるからです。長期に渡る健康被害を起こしてゆくことになりかねないのです。
このリスクを警告する人もいますが、大丈夫という人たちもいて、放射能についてはまだ意見が分かれている状態です。これだけの放射能が広がりながらも、その影響が長期に渡って遅れて出てくる物だけに、まだ明確には出来ていないのです。
非常に残念な状態なのですが、統計に影響が現れるまで、また、健康被害が大きく報道されるまで、この状態が続く可能性が高いです。
花粉が体内に取り込まれると、その中のセシウムが大きな影響を及ぼします。セシウムは体内にあるカリウムと振る舞いが似ているので、カリウムの代わりになったりするようです。
体内にはカリウムが存在し、体重60kgの人で、約120gになるそうです。このうちの98%が細胞内部に存在し、残りは細胞外とのことです。
体の中には、この量のカリウムをため込む仕組みが存在し、このカリウムを使って健康を維持する仕組みが存在しています。
セシウムは、体内に取り込まれるとカリウムとの区別が難しい物質です。その結果カリウムと間違って取り込まれ、体に蓄積されるのです。
このセシウムの排出には、カリウムを多めに摂取して排出を促すと言うことになります。元々カリウムを選んで体内に取り込む仕組みですので、カリウムが多ければ、セシウムを取り込むことは減ってゆきます。一度取り込んでも対策をすれば、その影響を減らしてゆくことも可能です。
セシウムは放射線を出して、近くの細胞を破壊します。エネルギーの高いX線だけでなく、高エネルギーの電子を放出するので、この電子のぶつかる細胞、DNAを損傷します。この損傷はやけどと同じように考えても良いのですが、体内でのやけどであり、遺伝子レベルを破壊する物でもあるのです。
今回の問題点は、主に肺から花粉として吸収される分です。セシウムが直接肺から吸収されるのではなく、花粉として肺の粘膜に残る分がどのようになるかを考える必要があると思います。
食事として体に取り込むセシウムとガスとして肺から取り込まれるセシウムはどのように吸収されるかが調べられていますが、花粉の中にある物がどのように振る舞うのかは、誰も調べていないのではないかと思います。
先に出てきた0.553マイクロシーベルトも、大人にとってはまだ大丈夫かもしれませんが、幼児にとって大丈夫といえるのでしょうか。加えて内部被爆になるのであり、体内での蓄積が問題なのです。肺への蓄積は体外への排泄が難しいので、小さな数値の積み重ねが大きな影響を及ぼします。免疫細胞が取り除くにしても、食品の消化と異なり一定の期間の蓄積を伴うでしょう。
放射能の影響の強いエリアにいて、幼児から花粉を何年も浴び続けることはどうしても問題を感じます。
放射性花粉 の解析結果
セシウムが肺に蓄積され、体には長期に影響を及ぼす可能性がある。毒でもあり、健康、免疫、遺伝に影響を及ぼす。体を弱くするかもしれない。
2012年の日本の花粉 の解析結果
3月11日の事故による放射能を含んだ花粉が飛散し、肺や体に蓄積する。体を弱め、健康に長期に影響し、毒となるかもしれない。病気につながるかもしれない。
人によっては花粉症により体力が低下するところに、放射性物質の影響が加わる可能性があります。余計な病気を併発することにつながりますので、今年の花粉には注意が必要だと思います。インフルエンザや風邪にも注意しましょう。
花粉に含まれているセシウムを気にしていますので、まずは普通の花粉対策マスクで防いで下さい。ホットスポットなど、同時にセシウムが土壌より舞い上がるエリアではセシウムも吸着できるタイプが良いかもしれません。
花粉症でない人も、今年はマスクがおすすめです。
稲生雅之