2011年のお米について      9月20日

 今年生産されたお米の出荷は一部で始まっており、500Bq/Kgの基準以下の放射能を含まないお米が既に流通し始めています。
 政府は今年のお米の流通量には問題が出ないとしているようですが、お米の放射能の測定方法や流通経路に問題が有り、放射能を含むお米が流通に乗ることが心配されています。

 9月の始めに発売された経済誌が、放射能とお米の特集をしていました。この記事が上記の流通を警告していました。
 その元記事には、産地偽装に使われる可能性のある昨年度産のお米の空袋が、福島県に集まってきていると書かれていました。

 元々空袋には個人利用も含めて袋としての用途があります。ただの袋ですんでくれればよいのですが、これに放射能に汚染されたお米を入れて、一部でも流通に流れ出すことが起きると、困った事態が始まります。
 数年前に本来流通しないはずの農薬を多く含む事故米が流通し、問題になったことがありました。この時に根本的な問題にまで踏み込まなかったので、現在のお米の流通制度には、まだ問題が残っています。

 今年の8月のNHKのニュースが
「全国の小売店で「100%新潟県産コシヒカリ」と表示して販売されているコメのうち、表示どおりだったコメは全体の3分の2にとどまり、そのほかのコメには別の品種や産地が特定されないコメが混ざっていたことが新潟県の調査で分かりました。」
と伝えています。

 全国の小売店から入手した200袋の100%新潟県産コシヒカリは、実にその1/3に別のお米が混ぜられていました。これはDNA鑑定による物なので、科学的に正しい鑑定と思います。1/3もの流通量が産地偽装状態に今も置かれているのが、お米の流通の世界なのです。

 2004年には魚沼産のコシヒカリの産地偽装が問題になっています。魚沼産のコシヒカリは6~8万トンらしいですが、その何倍もの魚沼産のコシヒカリが流通していました。当時どこまで対策をしたのか分からないのですが、今も1/3もの流通量に問題があるのであれば、効果のある対策は事故米の事件も含めて行われてこなかったようです。

 今年のお米ですが、前出の経済誌によれば、放射能の拡散した地区のお米を流通から外しても、今年の需要約800万トンを満たすお米は日本にあるとのことです。
 今回の放射能による影響で、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の生産全量を175万トンとし、その全てを使えないとしても、約800万トンの需要を何とか確保できるとしています。
 
 この状況で、この先お米に放射能が検出されるという事件が起きる可能性があります。
 東京電力福島原子力発電所の30km圏内のお米は、政府により買い上げられ、この分が流通に回ることはほとんど考えなくて良いと思います。
 問題はこの地区に入らない放射能汚染の大きい地区のお米です。風評被害により通常の販売は難しい物も出ると思いますが、この様なお米が安く買いたたかれて、他のお米に混ぜられて販売される可能性があるのです。

 その先には色々なシナリオが考えられるのですが、可能性の高い物を一つ挙げておきたいと思います。
 1993年に冷害が起き、約200万トンもお米が不足したのですが、この時は輸入で不足分をまかなっていました。
 この輸入はこの種のお米を扱う商社、流通にとっては利益になったことだと思います。残念ですが、この輸入の再来に可能性が出て来るのです。

 日本のお米は海外にも少量ですが、輸出されています。恐らく一部のブランド米などが出ており、私が知るだけでも中国やアジアに輸出されています。味にうるさい日本人向けに他の国々にも細々と送られていると思います。
 このお米に放射能を含む物を混ぜて輸出するのです。海外では日本の生産物に対して放射能の有無にピリピリしていますので、海外で日本米に放射能が検出されると、大きなニュースとして世界に配信され、日本にもその影響が大きく出て来ると思います。

 日本では何故その様なお米が流通したのかを調べることになりますが、当然のように根底にある産地偽装の問題に直面します。日本のお米の流通は、色々な産地のお米を混ぜる、ブレンドして成り立っている部分が1/3もあります。この事が今よりも多くの人に知られることになり、どのお米が安全なのか分からなくなってしまうのです。

 今年生産されたお米は十分あっても、どれなら安心なのか分からないのです。ここで国民が冷静でなくなると、昨年度産のお米しか食べられないとなります。その結果パニックになってしまう可能性があるのです。3月11日の直後にスーパーからお米が消えたように、主食に対するリスクには多くの人が敏感に対応するでしょう。
 その結果は明らかで、昨年度の在庫では全てを賄えないので、安全と思われる輸入も利用しようとするでしょう。目の前に安全なお米が十分ありながらも、そのお米を食べられないように演出され、その流れに乗せられるのです。

 2冊目の本の中で食糧危機の演出について触れています。この危機の具体的な物がこの様なシナリオになります。国民が冷静でなくなると輸入米が大規模に、しかも供給不足による高価格で登場することになります。
 今推定する流通は、2/3はきちんとしています。まずはこの部分を利用すれば安全なお米になりますし、残り1/3も、この産地偽装でもある放射能を含んだお米のブレンドを止めさせればよいのです。

 ブレンドはお米の生産が終了した時に全てが行われるわけではないと思います。流通の段階で1年を通じてブレンド作業をしている可能性が高いです。この流通の問題に向き合えば、放射能を含んだお米の流通はほとんどなくすことが出来るでしょう。
 食料品に含まれる放射能を正確に測定するには1千万円の計測器が必要ですが、百万円くらいで食品に含まれるセシウム137の放射能を計測することが出来ます。

 流通末端の販売店でこの計測器を持つのは多少負担かと思いますが、地域で協力し合うなど、安く対応できる工夫はたくさんあると思います。
 現状ではとても残念ですが、政府がこの種の食品流通に責任を持つとは言えない姿勢なので、国民が声を上げて自衛して行くことになるのではないかと思います。

 私達にとって安売りはありがたい物ですが、セシウム137の放射能を大量に含む物は子供や妊婦さんには食べてほしくないと思います。信頼できるお店、信頼できるスーパーなど、自前で放射能を計測して提供することが、今後は必要になって来ています。
 どんな物でも、流通業者に不安を感じる物は調べて提供すればよいのです。お米以外の食品も計測出来ますので、放射能が除去出来るまでの十数年位はこの方法で健康を守ってゆければと思います。

 流通に放射能をたくさん含む物を乗せない方法は、他にも工夫の余地があると思います。色々な方法がとられるようになって行くと思いますが、流通が信頼を回復するまでは小売りの段階で安全を計測する方法が、単純で多くの人に分かりやすいと思います。

 海外から日本のお米に問題ありと演出することは、現状では非常に簡単です。輸入を望む人達の陰謀と考えなくても、放射能をブレンドされたお米が輸出され、自然に起きてしまう可能性のあるレベルであることがご理解頂けると思います。(この状態だからこそ、演出がしやすいのが現実です。)
 この様な演出が起きても、パニックにならずにまずは政府に安全と言われるお米を食べてほしいと思います。もし起きたらその時点で詳しく対応を書いてメルマガします。

 どの様に政府がこの問題に向き合うか分かりませんが、百万円で自衛できると分かれば、国民の声で小売店レベルから安全を検査する方向に変わって行くことになると思います。既に外食産業などはこの取り組みをしていますので、この流れが大きく広がって行くのです。
 その先には放射能を含む物が流通しにくい状態がありますので、時が流れるにつれて良い方向に変えて行けるでしょう。 

日本の米の2011年 の解析結果
 2011年の日本の米は、放射能による汚染が起きるかも知れない。農水省、農協、流通、問屋、農家の一部に問題が有り、風評被害、産地偽装が起きる中で、放射能も混ぜられるかも知れない。無責任、モラルのない詐欺である。TPPや輸入を望む物かも知れない。
 在庫はありお米は不足しにくいが、自分で放射能を検査する様になるかも知れない。国民の声により農水省、農協、流通、問屋、農家に改革が起きるかも知れない。